釣考

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ヘラブナ 釣り論

ヘラブナ釣り人口減少を食い止める当事者感覚の重要性1

このブログで根強いアクセスのある「ヘラブナ釣り業界の危惧:人口減少について」。Twitterや釣り場でもしばしばこの話題になるのだが、実際に行動を起こしているかどうかでいうと、どうかな、という感じではなかろうか。

よく「素人の意見も重要である」という話もあるが、一応マーケターである私に言わせれば、素人の意見に依存するレベルでしか業界内での当事者意識のない分野は遅かれ早かれ淘汰されるに決まってるじゃん、である。あまりに情報整理できていないことを認めているようなものだ。そもそも、ふぐ料理店に若者客を呼びたいと思って専門家は一切口を出さずに素人のそのへんのあんちゃんの意見をまるごと聞いて店に自己資金投資できますか、という話だ。

では客観視のためには何が大事か。それはまず内側から外へ向かっての当事者意識と全くゼロからその分野を見たときの外から内側を観察するという想像力。そのうえで、素人の意見は重要なファクターとして意味を持つようになるのだが、そこまでの努力ができていない「お客様」が多いように思うのである。

で、私はこのごろ当事者たる人たちと趣味の延長の仕事で関わり始めている(実はヘラブナ以外にも同様にマーケットが冷え込むことがほぼ確定的な分野の相談も受けているのだが、これはいずれこのブログでもアウトプットできる日が来るだろう)。

まず、どうやっても斜陽産業であることは受け入れるしかない

そもそも釣り人口というのは平成一桁台をピークにそれ以降は下がり続けている。そして釣り人として可処分所得が多く、人口が多いのは圧倒的に60代であることに異論はないだろう。

 出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (http://www.ipss.go.jp/)

確かに団塊ジュニア世代も人口としては多い。しかし可処分所得でいうとどうだろう。釣りに没頭できる環境を持っている人はどのくらいいるだろう。彼らはバス釣りブーム世代である。このなかからちらほらヘラブナに入ってくる人もいるが、割合としてはソルトルアーフィッシングに移行する人が多いだろう。本来はこの世代を取り込む戦略が現実的に取れる第一手である。

しかし、団塊ジュニア世代というのはいわゆる就職氷河期世代である。ガチの釣りキチは実はそれより若い世代と人数で言えばそれほど多く変わらないような気がしなくもない。

さて、これから釣りに興味を持ってくれる若者を増やそうという施策がよく言われるが、これは大成功したとしても今の減少の傾きをほんの少し緩められるかどうかというところだ。150万人くらいいる40歳と比べて、今の20歳は30万人くらい少ない。2割減である。軍隊において戦力の2割減は組織的戦闘の限界を意味するが、会社でも2割の戦力が失われたら現状維持は不可能だろう。くわえて、趣味の多様化、可処分所得の減少である。どうやっても釣り業界は斜陽産業である。あと5年もすれば団塊世代もリタイアして釣具を手放していくだろう。まずこの前提に立たないと話が始まらないのだが、「増やそう」という人がいるのである。噛み合うはずがない。

へらぶな釣り人口はもっと極端な人口ピラミッドだよね

釣り業界全体で見てもかなり尖った逆三角形になる人口ピラミッドも、へらぶな釣りに限定するともっと極端な下すぼみ三角形になるはずである。中京地区においてそもそも平均年齢は推定60歳である。いや、もっと上かも。私は37歳だが、圧倒的に若手の部分に入ってしまう。これがシーバスとかだとおっさんと呼ばれる側になるのだが。

団塊の世代が釣りからのリタイア目前のため、へらぶな釣り人口は5年後に半減することはほとんど確定である。これを若者向けにといくらやったところで減少幅を補填できることはないだろう。

国内外来魚という問題もある

最近ではヘラブナも国内移入種として取り扱われる。特定外来生物ではないにしても、安易な放流は行政や世間の同意を得られないだろう。魚には命がある、人間の身勝手で貴重な命ガーと綺麗事を言うつもりは毛頭ない。(そもそも人間が田んぼを開発し始めた頃から内水面の自然なんてその時の都合でコロコロ変わってきているのでどれが自然なのか、という話になると近代以前に遡るしかなくなると思うが)

自然水域において科学的見地からみて駆除される必要があれば駆除されればよい。こう言うと野釣り師から怒られるだろうが、国内移入種も駆除しなければ生物多様性が云々というコンセンサスがもし成立したらそうなるしかないだろう。

ヘラブナが今後どのように扱われるべきかは色々議論があるだろうが、釣り場からの流出を防ぐよう配慮した上で管理釣り場で楽しむもの、というポジションに緩やかに移行していくのが現実的な解決策ではないかと思う。ニジマスがなんとなく市民権を得られているのは本州での自然繁殖がほぼ不可能だからであるが、ヘラブナは当然自然繁殖できる。この点がむずかしいところであるが、ニジマスと同様成長の早いF1(生殖できない代わりによく育つ)を養殖するとかそういう風になるのかもしれない。が、間に合わない可能性のほうが高そうだ。

つまりかなーり厳しい環境にあるヘラブナ業界。コンパクト戦略に切り替えるべきか

関東方面はともかく、中京、関西では釣り場の減少、新規客の低迷は止められない。メーカーも釣り場もよりニッチな方向に進むしかない。新規で釣りを始める中からよりマニアックな釣りファンを拾っていくようなマーケティングをしながら、小規模でもやっていけるモデルに業界全体がソフトランディングを図っていくしかないのではないか、というのが私の考えだ。なんたって、あと数年で業界としての収益は半減では済まないレベルで落ち込む危機にある。

今のままではビジネスモデルとして厳しいため、たくさん放流してたくさん人呼んで釣らせる、というのができるのは限られた釣り場だけになるだろう。ビジネスモデル自体を抜本的に見直す努力をしないといけない。が、やがてタナゴ釣りのような、一つの様式美を残しつつ愛好家が少数いるような世界になっていくのではないかと思う。つまり、これまでのようにバカバカ放流して100枚釣る、みたいな釣り場より一枚一枚を大事に釣るようなコンパクトな世界になっていくように思う。管理釣り場で野釣りに近いようなフィーリングの釣りになっていくのかもしれない。

ちなみに、「加福フィッシュランド」は工場の空きスペース(丸太を浮かべていた池の再利用)で一日ワンコインでありながら運営を持続している。収益性は不明だが企業が運営するモデルとして非常に興味深いのである。個人的にはこれの水平展開に可能性を感じている。

続きは次回。

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