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メタボの話

いきなりツンデレぶちこむが、私は猫が苦手である。かわいいというのはわかる。わかるが、猫にあまりいい思い出はない。そもそも私は動物アレルギーで、喘息を誘発するのであまり犬猫とじゃれることができない。

当然猫さんサイドもそんな私の腹の中を察するのか、猫という生き物全般はまず私にはなつかない。漁港などで遭遇する猫は貴重な獲物を狙いに来るうっとおしい存在でしかないと思っている。猫好きの人にとって私は敵かもしれない。。。。

そんな猫の味方ではない私に、私にとって生まれてはじめて心をひらいてくれた猫がいた。ひだ池の名物猫、「メタボ」号である。

ある蒸し暑い日

この日は、単独釣行だったが浅ダナ両ダンゴで一日楽しく釣りをしたが、とにかく蒸し暑く、それでいて直射日光も強烈なため、ひだ池社長も炎天下例会のお世話などで駆け回り熱中症の心配をするほどにグロッギーとなった。

非常事態宣言明けということもあって、桟橋にはたくさんのパラソルが開き、釣果も上々だったようだ。

夕方、お客様が帰られてから日が暮れていく。すでに「関係者」となった私は事務所のドアを開く。社長はしばらく休憩して回復したとのことで、打ち合わせを予定通り始めることに。社長のPCをお借りして作業。ある程度段取りがついたところで、メタボが私の足元で体をこすりつけるようにして丸まった。

「俺もメタボだし、気が合うのかも」

社長は酔っていて私のつぶやきに気づかなかった。懐かしいような、蛍光灯の波長が静かに事務所を照らしている。

高齢ということもありすでにメタボは余命幾ばくもないだろう、という話を聞いていた。確かに、毛並みが悪いように感じた。

しばらくすると、メタボを病院に連れて行くということでメタボを移送用のネットに抱えて入れてくれ、と言われた。そういえば最後に猫を抱えたのっていつだっけか。全く思い出せないし、もしかすると初めてかもしれない。

「メタボ、ごめん、だっこするよ」

メタボはまったく嫌がる様子もなく、あるいはすでに体力的につらくて動かないのか、驚くほどおとなしく私の両腕に抱えられ、すぐにネットに包まれた。病院に連れて行ってくださる方に社長がそのネットを引き渡しに行った。これが私とメタボの最後の思い出になる。

その次にひだ池を訪れたときは先週亡くなったと報告があった。最後は悲しかったが大往生だろう、と声がちらほら聞こえてくる。道路脇、まさにひだ池の入り口の横にメタボの墓が作られた。

私がひだ池に通い始めたのは今年からだ。以前も来たことはあるが、本格的にやり込むつもりで通ったのは今年からだ。結果的に、メタボと入れ替わるタイミングになってしまった。

ところで先日、メタボの墓参りをしたのち、食事しながらメタボの思い出を話した。

「メタボってね、今までどんな猫もなついてくれなかった俺になついてくれたんですよ、うれしかったなあ」

社長はすかさず、

「言っちゃ悪いけど、メタボは誰にでもなつくで」

「あ、そう、、、」

自分の中で立ち上がってきたメタボと自分の最後のストーリーの余白が塗りつぶされてしまったが、社長のそういうところきらいじゃないw

メタボ、最後の苦しいときに新参者の俺に絡んでくれてありがとう。ひだ池、それとヘラブナ釣りのために仕事頑張るよ。

maki姉さんのブログ記事ではメタボの思い出とともに在りし日の写真が沢山ご覧になれます。ぜひ。
https://ameblo.jp/mk119key/entry-12615074435.html

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