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養殖じゃないと釣れないってマジ?

「養殖ベラじゃないとエサ食わないよ」

直接的に言えば、ひだ池が池干しで野ベラを連れてくることについてのよくある論評である。ところで、どこの池に放流するのであれ、いわゆる新ベラ放流というのは基本的に養殖された個体である。コンディションさえ良ければ放流直後はそれはもうよく釣れる。

しかしこれが数ヶ月、半年と経過し、次の夏が来た頃にはこれが新ベラで、これが旧ベラで、みたいな話は聞かなくなる。すでに環境に適応してその池の魚になっているというのか、その次の新ベラシーズンにでもなればもはや立派な旧ベラである。

さて、私は養殖ベラじゃないと食わない、という根拠は一体何なのだろうか、という疑問を持っている。いや、実際そうならそれでいいんだけど。例えば野池から連れてきた個体はなぜ、養殖業者の管理する池から連れてきたものと比較して餌食いが悪いと言えるのか。ここを知りたい。例えば、野池から連れてきた個体がもう老成魚で体力も弱いとかそういうことならわかる。てか、そういう文脈なのかな?もしそうならそれで終わりと言ってもいいが、一つ気になる点がある。

昔のある管理釣り場は、どこかの川から網揚げしたヘラブナを放流していたが、束釣りも普通にありえる時代があったそうだ。これこそ野ベラの移植であり、この例からいくと「養殖個体だから餌食いがいい」というロジックが成り立たない。

ヘラブナが簡単に釣れる条件としては、ある程度のボリュームの群れを釣り人のエサ打ちによって足止めでき、それらが競い食いする状況を作れることにあると考えている。これが成立しない場合、底釣りやマッシュの深宙のようなバチバチの野釣りになり、数を狙うという釣りではなくなってくる。やれ両ダンゴだ、セットだ、という釣りが成立するにはやはりある程度の「頭数」が必要だ。

実際、管理釣り場でも魚影が薄いと釣りが難しい。野釣りのつもりで取り組まねばならない、なんてことはざらにある。つまり、どんな出自であれ、健康な魚体で、ある程度の密度がコントロールできれば、よく釣れるのではないか、というふうに思うのだが。

逆に言えば、適切な水質と魚影が確保できていれば、いわゆる養殖ベラでないヘラブナたちを相手にしても数釣りは成立するのではないかと考える。例えば猫ヶ洞。あそこも養殖の新ベラを入れるところだが、明らかに現地生まれのマイクロべらが連発することがある。小さいとはいえ彼らは養殖個体ではなく、養殖二世である。二世も親の遺伝で養殖個体の性質をそのまま引き継いで一生パクパク餌を追う、なんてことはあるのだろうか。もしそうなら、野池から移植したヘラも遺伝形態的にはいわゆる養殖ベラの性格を引き継いでいてもおかしくない。

となると、養殖じゃないと食わない説というのは、生息環境のことだろうか。人間慣れしていないからエサに近づかないとかそういうことだろうか。謎は深まる。

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