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【ヘラブナ】厳寒期チョーチンセットウキを発注

2022年2月、ひだ池の状況は相変わらず厳しい、とはいうものの、1月に比べて徐々に上向きだと思うので、若干季節が進んだ缶はあるけど人的プレッシャーによる影響はかなり大きいという想定が最も適切な見方であろう、という結論に落ち着いた。

そんなひだ池にひょうたん湖から尺半サイズのヘラブナが輸送されてきたが、おそらく例会やっているときに釣れてくることはSSR級にかなり稀で、旧ベラが居着いているテリトリーであることと、絶対数の比率から言って狙って釣るものではないだろう。したがって、普通に考えれば例会など浮き桟橋から釣るのであれば、厳寒期のセッティングでそこにいる旧ベラを狙うのが重量で言えば最適解だろう。

さて、例会に向けてと言いたいところだが、すっかり遅れてしまったチョーチンウキの見直し。ひだ池が誇るエンジニア、ハタさんのカウンセリングを受け、この度ウキを発注してきた。

以下、私が22年早春時点での見解を述べていくが、ベテラン諸氏におかれましては例によって頓珍漢やなこいつになるかもしれません。その試行錯誤も含めてヘラブナ釣りの楽しさ、とご理解を。

冬用チョーチンウキの見直し

さて、頻繁に当ブログに登場するこのウキである。4月末に兄弟子くんが突然私に代わって発注したいわくつきのウキである。使うの半年以上後なのに余計なことを!How dare you! 結論から言うと、3月以降や10~12月上旬ごろの、オモリが馴染む前のフォールでも食ってくるような状況に適したウキであった。この時の理解では、トップの長さが誘いからの食わせの間になると考えていて、クルージャンの同様のウキよりもトップを3センチほど長くしてもらったのだが、真冬ではそれでも食わせきれないばかりか、デメリットも感じられるようになってきた。

で、それを次のウキではどうチューニングしてもらうべきかを言語化ができていないので発注が遅くなった。残念ながら今月の例会には間に合わん模様。

トップの長さだけでは対処できない「決めの一瞬」

冬場の、タテ誘いを行うチョーチンウドンセットでは食わせがついて、トップは2節残る状態での釣りになる。じゃあその下の部分はなんなの?ということになるが、これはタテ誘いのストロークを大きく取りたいから、ということを考えてこうしていたし、一般にチョーチンウドンセット用のウキと言われているものの多くも同様にトップが長い。

しかし、大なり小なり、オモリまで持ち上げるようなタテ誘いをすると、その上がったぶんだけオモリが「ウキとオモリより上の仕掛け全体の」ブレーキで減衰したとはいえ、食わせの自然落下より早く沈んでいく。その間、食わせは持ち上がったぶんから沈下を始めるが下ハリスが張ったらオモリの加速度が食わせに伝わるので沈下が早くなる。これであたってくれる状態ではないのなら、オモリが定位置になってからの残りの馴染み幅しかアタリを期待できないことになる。

ということは、微弱なアタリを察知できるのは最後の2節程度ということになる。それ以前の目盛りはオモリによるドラグがかかっている状態の沈下になるので真冬の追いが悪い、弱いアタリは拾えない。これを解決する必要があるが、2つのアプローチが考えられるがそれは後述するとして、まずはタテ誘いにはデッドゾーンが存在するという認識を押さえておく。

トップが長いことのデメリット

トップが長いと、露出している部分が多いときはまともに風の影響を受けて引っ張られやすくなるし、トップが入っていても、風による表層の滑りに弱い。せっかく仕掛けがタナで馴染んでいても、表層の上滑りでしもったり、横流れに持っていかれやすい。また、表面張力により立ち上がりが遅くなり、その分棚に仕掛けを入れるスピードが遅くなるデメリットも背負うことになる。したがって、釣り方として可能であればトップは短いほうがいいことになる。

そこで、先述のオモリ沈下中のデッドゾーンの問題である。そしてそこに横流れ対策というものを考慮していく必要がある。

クライテリアのまとめ

A)錘負荷を極力小さく、大きなタテ誘いでも落下スピードにブレーキを掛け、食わせのフリーフォールとの落下速度差を減らす

B)風、表層流れにできるだけ耐えられること(流れの受けより馴染んだ仕掛けのドラグのほうが強い)

C)以上を満たした上で微細なアタリを見逃さないトップ

以上を満たすウキが必要と考えた。これを仮説としてハタさんに伝えられなければ、お互いに納得したウキができない。考えているうちにシーズン終盤になってしまった。

これが本当のウドンセット(この後天ぷら8割残したまま部長が散らかしたバラケの上にぶちまけてしまった)

打ち合わせの結果、決まった仕様

Aについては、ボディを極力短く、下側のテーパーをきつく仕上げて最小限の錘負荷でのブレーキ効果を狙うことに。オモリが小さくなるということは、それだけアオリに弱くなり、ウキが受ける横方向のドラグにも弱くなることになるが、そこはトップ側の設計変更によって打ち消しに行く。また、ボディ塗装も極めて薄く、意匠性は無視してクリア塗装。羽根素材による若干の表面処理の誤差も水中での水噛み、ブレーキ効果を考慮しそのままとした。

Bは、トップをグラスムクのテーパー強め、できる限り細くし、全長も抑えた。3節程度のタテ誘いあるいはそのおまけ程度の誘いであるため、その範囲のストロークで十分である。したがってバランスが取れる範囲で大胆にトップの長さは詰める。立ち上がりの良さをアップさせるために先端は極細。あたりを取るのはその2節下あたりで、2目盛り出しが基準。さらに、脚はカーボンでより長いものに。立ち上がりの良さ、馴染んだ後の安定感をアップ。

Cは、あたりを取るところだけ明確な色を塗り、それ以外の部分はクリア塗装+黒帯とし、余計な情報量を減らした。一日を通してにらみ続けるものから入ってくる情報量をコントロールすることも、疲れないための工夫である。

ものづくりやってた人間(デザイナー)としての楽しさが蘇った

小生、工業デザインを学んでいたのに手先が絶望的に不器用である。ウキの自作は早々に諦めた口である。だから、市販品では手に入らない、(あるいは高くて買えない、ともいうw)経験豊富なエンジニアの助けが必要である。

で、自分も依頼を受けてもの(グッズとかウェブサイトとか)を作る仕事もしているので、クライアントからどれくらい情報を引き出せるか、ということが仕上がりを大きく左右することもよく分かる。「おまかせで!」が毎回ぴったりにハマってくれればいいが、クライアントが本当に欲しい物というのは、きちんとした打ち合わせによる言語化、可視化ができないと見えてこない。もちろん、それでクライアントが認識不足だったり、うまく整理できていないことがあれば打ち合わせでそれを修正したり、意図を読み取って超えていく必要もある。

ハタさんと打ち合わせしていて、そうした自分があと一歩理解が及ばなかった部分、解決策が見えていない部分を読み取ってもらえたので、大変に助かった、というのが率直な感想である。まさに餅は餅屋で、こちらが困っていること、向かっていきたい方向を言語化するところをきちんとやれば、話はスムーズだ。

ハタさんをあえて敬意を込めてエンジニア、と呼ぶのには意味があって、ウキ師というよりは、桟橋の修繕、加工から便利グッズまで色々手掛けているからである。目下、鯉の釣堀コーナーの設営が進んでいる。春にはオープンする予定で、にぎやかになりそうだ。

ついでに完成品もいくつか買いました

先日購入してから活躍中の底釣りウキのより小さい番手と、グラスムクのチャカウキを2点、合わせて3本追加。8尺の底釣り、浅ダナセットで活躍してくれるはずである。

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