そろそろ渓流釣りもいいかな、と思ったり思わなかったり、他にやることもあるし、、、というテンションで一応3時半頃に起きる。まあ増水後のチャンス日だし、行くだけ行くか、という低空飛行マインドで6時半頃到着予定でいつもの益田川へ出発した。
入川口の看板がめっちゃ増えている
最近、益田川管内では入川口を示す看板がそこかしこに設置されるようになり、これまで見落としていた場所がどんどん明らかになっていく。ということは、こちらが得意としているポイントも誰かに「発見」され、先行される可能性が上がったということでもある。
これは多分、賛否両論だと思う。これを嫌う人の心情もわかる。せっかく苦労して見つけたポイントへの経路があんなにお手軽にエントリーできるようになってしまっては…と言いたくなるだろう。そこはすごくわかる。自分も漁協による案内がある有名ポイントから徐々にポイントのストックを増やしていくために安全に入れる経路を探したり、地域の人に積極的にあいさつしてコミュニケーションを取ったり、そうやって一つ一つ手札を増やしてきた。
ただ、入川口が掲示されている理由は釣人の利便性(漁協の収益を上げるための施策として有効)だけでなく、私有地通過、駐車場トラブルを減らすことと、ビギナーとベテランの棲み分けという2つの効果もあるのではないか、とも思う。
なので、私もその恩恵に2つの意味で預かるのだ、と考えるようにした。知らなかったポイントに地域のじゃまにならないよう安心してエントリーできることと、それと自分がここと思っているマイナーポイントが温存される可能性が上がるということ。
実際、この日の釣りはそんな感じだった。
え、ここ入れるんだ、からの2投目ヒットからの三連発
今までスルーしてきたポイントへの経路が明らかになったので、なんとなく入っていくととてもいい感じのプールが3つ。ただ、増水気味なので渡渉は無理だ。
水深もあるため、Dコンタクト50を遠投し、いつものようにクロスでトゥイッチ。いきなりチェイスあり。
二投目で早速ゴツンとひったくるアタリ。

岸際についている可能性もあり、かなり離れたところからのキャストだった上に、まだまだ魚が連続すると見越せる状況だったので引き抜き。
続いてヒット。

サイズダウンはしたものの、いやいや、十分立派なイワナである。このあとさらに一本追加し、このポイントで3匹のイワナをキャッチした。
そしてこの場所は他のポイントへの移動ができなかったため、一旦引き上げて車移動することにした。それで車道まで登ってきたら、まさにこれから入ろうとするルアーマンと遭遇。一通り先行したことを告げ、この後入る川の予定を聞く。もし自分の予定と被ったら、ここで先行した分を考慮し譲るつもりだったが、別の支流に向かう予定だったようなので予定通り次のポイントへ移動した。
あれ?ニジマスが・・・
先月ガイドした川の瀬で小さなニジマスがヒット。さらに釣り上がっていった先にある大きなプールでトリコロール流芯を遠投すると、複数の魚影が猛然と追尾してきて一発ヒット。これが20センチくらいのニジマスだった。
これはどっかの養魚場から逃げたな。。。
普段以上の距離を登っていく

プールでのヒットはなかなかなく、小場所を丹念に通していくと時折アマゴがヒットする。誰かに一度釣られて、ハリスを切ったツワモノが釣れた。体側にくっきりと糸が巻き付いた跡が残っている。それでも今回私に釣られてしまったのは気の毒であるが、すぐにリリースした。今回で懲りるか、また誰かに釣られてしまうか?
途中で鮎釣りの人に追いつく。本流が釣りができないほどの増水なので、いつも以上に釣人に遭遇する日だ。
声掛けして、上流で釣る予定があるかを伺い、ないようなら追い越しの許可を請う。許可を得たら、できるだけ邪魔にならないように十分距離を保って迂回し、釣りを再開する。
そうこうしながら釣り上がっていくと徐々に険しくなっていく渓流。2キロ近く釣り上がっていくが、たまに小さいアマゴが出る程度でどうも釣果は出ない。というのも、ここも途中から入川しやすい里川であり、かなり人が入っているような場所だし、ポイントも狭い。
もうちょっと進めば入れる体力のある人を選ぶため、釣れるゾーンに入るだろうと思ったがここでさっきまで晴れていたのに雨が強まってきた。あわてて脱出経路を探し、10年前からするとありえないほど荒れたルートをよじ登って離脱。
これでも満足はしているので帰宅しても良かったが、雨が止むまでそれほどかからなさそうだったので、別の谷に入ってもう一回チャレンジすることに。
10年近く入っていなかった谷にトライ
ある谷はその入口に今年も何回か入ってみたが、まあ言うほど魅力を感じるポイントでもないから、困ったときの引き出しの一つくらいの位置づけだったが、この日はその更に奥まで登ったところからエントリーしてみることにした。
林道からそれほど離れないポイントなのでそれなりに荒れているだろうと思ったが、入口直下のポイントで早速チビが釣れて、イワナは十分残っていることがすぐに把握できた。
尺ヤマトイワナ(ほぼ)が久しぶりに出た!
それから少し登った先の水量がたっぷりあって流れもマイルドな落ち込みにリュウキ50Sを投げると一発でドンと強いアタリ。あえてそのまま流芯に乗せて、一段下の開きを利用して寄せていく。魚影が金色だ。これは!!

(ほぼ)ヤマトイワナである!それも、尺サイズ。

今年はまだ尺イワナが1本しか出ていない中で、思わぬプレゼントが待っていた。これは嬉しい!
そして更に釣りを進めていくと、15センチ位のイワナがちょこちょこと釣れてくる。まだまだ魚はいる。しかし、十分釣果が出ているので、敢えて不利なアップストリームでのスプーンを楽しみながら遡行することにした。
やっぱりアップは難しい。どうにかして横に回り込み、ダウンクロス気味に誘える場所で食わせる、という縛りプレイをしていくが、そんなことよりも気になることが。
すっげー獣臭い。エグい。奴がおる・・・!?
あるポイントから猛烈に獣スメルが感じられた。怖い。
牛舎のような、体臭と思しき臭いと、腐敗した玉ねぎと肉が混ざったような口臭のような臭い。これはまずいと、周囲を見渡すも、当然何も見つからない。見つかったらそれはそれで大変困る。
牛舎スメルだけだったらカモシカかなんかだとそれほど警戒もしないが、やっぱり同時に臭ってくる腐敗臭がすごくやばい感じがする。
(後で調べたら狐の可能性が高いとも書いてあったが、じゃあ安心だね、というわけにもいかない。どれだけ最大限に警戒してもしすぎることはないはずである)
周囲を見渡しつつ、足跡や不自然に濡れた岩などがないかを確認しつつ、離脱ポイントを探しつつ、慎重に釣りすすめていく。
しかし、明らかに魚の反応が減ったので、ちょうどいい頃合いで川から上がることにした。ただ、離脱ポイントと想定していた人工的なスロープの先は完全に急斜面の笹薮で、立ったまま登るのが難しく、木立に捕まりながら、笹薮を振り払いながら、最後は気合で林道まで駆け上がった。
で、駆け上がって林道に出た先にある木の幹はクマハギでべろっと樹皮がめくれていた。やっぱりヤツのテリトリーだ、ここは。
自分もまた動物であるという本来当たり前のことを思い出させてくれる渓流釣り。クマに出会わないため無理は禁物だが、渓流に分け入り、ダイナミックな自然の一部に混ざることの楽しさに病みつきになってしまった。熊鈴は携帯しているが、谷深い渓流ではその瀑布の音にかき消されてしまう。時々声を出して、周囲を確認しながら進むようにしたい。