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チヌの潮汁

年末に釣ったチヌのアラをどうやって食べるか思案。焼くと磯臭いか?と思い、煮込むことは決定。赤味噌で炊いて山椒をふる鯉こく風の煮つけも冬らしくて捨てがたかったが、刺身で臭みを全く感じなかったので骨の髄まで素材の味を楽しんでみようと潮汁に決定。身が臭いチヌだと潮汁はえぐくて食えたもんじゃないが果たしてどうなるやら。

事前段階として、アラはさばいたあとにしっかり水気を拭き、とれる粘膜はとっておく。そしてしっかりと、ちょっと多いかな?というくらいに塩をして冷蔵庫で寝かせてドリップを出す。調理直前にドリップをよく拭きとっておく。

下処理で霜降りにする

アラをざるにあけ、熱湯をまんべんなく振りかける。画像はこれから、というところだが、熱で表面のヌルが白化するのですぐさま冷水で洗って指でしごき落とす。これが表皮についた臭み成分だ。ついでに血合いや血溜まりをできるだけ綺麗に掃除する。

同時進行で鍋にて昆布出汁を取る。昆布はここから意外と膨らむ。

いよいよアラを投入

よく沸騰した状態でチヌのアラを少しずつ放り込む。一気にやると煮汁が冷めるので少しずつ。そして日本酒を適量入れる。
更に塩投入。塩加減はこまめにみること。魚からも下処理の段階で浸透していた塩が煮汁に戻ってくるからだ。濃さは好みの問題だが身をつまんだ時に程よく甘みを感じる程度がいいだろう。

完成!

小さいのもいるけどこいつは釣った時にエラが損傷したので捕獲したもの。ヒレが気になるなら事前にハサミでカットしておくといいだろう。

うっすら黄色くダシがでているが、できるだけ作りたてを一気にいただくのが美味しく食べるコツだ。磯魚は一晩経つとエグみや磯臭さが出てくるからだ。熱々の潮汁にネギを散らして気分は漁師だ。やや個性のある風味がいい塩梅にたっぷり入れた煮汁の酒と協調して旨味を引き立てている。釣魚の味そのものを楽しむクライマックスに相応しい。

で、うまいかまずいかなんだけど、うまい。ただ、骨から染み出しだ魚らしい味はする。スープはコラーゲンがよく溶け出していて滋味あふれる味わいになっており酒飲みのワイルドな味だ。七味唐辛子をさっと一振りするのもよさそうだ。きっと、外洋の魚や養殖魚が流通していなかった100年位前の釣り人たちはこんな感じで晩酌のあてを楽しんでいただろう。気の利いた飾り付けはしないが、いぶし銀の海の若武者に敬意を払い、乾杯。

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