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ヘラブナ釣りには釣りの基本と醍醐味が詰まっている

あんちゃん若いのにヘラやるんだ、などとよく言われる。実は先日もメルカリで玉網と玉の柄のセットを購入したので、そろそろ再開しようと思っている。来週末には釣り入門したばかりの、公私ともどもお世話になっている若い男の子にどこかの管理釣り場に付き合ってもらおうと思っている。なぜヘラ釣りに誘ったかというと、いくつかの理由がある。

  1. シンプルな道具で釣りそのものをじっくり楽しめる
  2. 運の要素が少なく上達を感じやすい
  3. ハリスを数センチ変えるようなちょっとした工夫で結果が大きく変わることを学べる
  4. 竿さばきがうまくなる
  5. 強い引きの魚を手軽に味わえるが簡単に大漁というわけでもない難易度

こうした釣りそのものの魅力もあるが、ほかにもある。

  1. 一日を通して並んで釣り座を構えるので忙しいけどゆったりできる
  2. ということでいろんな話が弾むので情報共有など茶室のような魅力がある
  3. 仕事の組み立てなどの考え方にフィードバックできる

あらゆる一般生活の中でジャンルとして「和」が見直されている現在、高齢者だけの釣りにしておくにはもったいないのである。

ヘラブナの道具は高いものも多いし種類が多くて大変だけど、とりあえずデビューするならこれだけ

本当に凝り始めるときりがないけど、とりあえず東海地方の管理釣り場で時々遊ぶなら、春から秋まで8尺一本でとりあえずできる。管理釣り場なので、基本的に浅ダナからちょうちんまでセット釣りすることを前提に組み立てる。それに見合うウキを棚ごとに徐々にそろえていく。仕掛け自体はオーソドックスなものでいいし、夏やってみて暑かったけどまたやりたいと思うならパラソルを買えばいい。最近ではメルカリやヤフオクも活用すると安価に良い道具がそろいやすいが、本当にピンキリだと思うので経験者の目利きは必要だろう。管理釣り場なら釣り台などのような汎用性皆無な大道具もいらない。竿掛けくらいは経験者に借りるのも手だ。

いきなりセット釣りって難しいんじゃないか?という話はよく聞くがそれでもセットをすすめる。本当は釣りやすいから。

とりあえず初心者を連れていくならパラソルがなくても過ごせて釣りやすい春先や中秋がおすすめだが、このケースの場合の組み立てとしてはどうしてもセット釣りになる。ヘラブナの基本は両だんごの底釣りだろ!というご意見、もっともです。筆者も実は両だんごの底釣りが好きで、シチュエーションに恵まれれば積極的に取り入れているし、野釣りでも両だんごの出る機会は多い。夏場の猫が洞池での両だんごの長ハリス浅ダナ釣りでなじみ始めたところのツンアタリを拾うスタイルなんかは非常にエキサイティングだから一時期ハマっていた。

そのうえであえてだが、今のところ、管理釣り場において両だんごが有利という状況はなかなかないと思うし、釣り方さえ理解していて、先輩がえさや仕掛けの調整をある程度やってあげられるのならウドンのセット釣りが有利だと判断した。桜が散ってからの時季でとろろが使える釣り場なら、とろろセットがもっと釣りやすいと考えてもいい。なお、とろろの場合、一般的にハリスが短くなるのであわせ切れのケアが必要になってくる。

セットをすすめる理由:餌合わせを極力省略してわかりやすく力強いアタリを出せるから

セット釣りではバラケの調整が難しい、下ハリスの調整が面倒、といった意見も多いが、渋い状況でアタリに最も近づきやすいのはやっぱりセット釣りだし、エサ落ちも明確なので打ち返しのタイミングがわかりやすいために指導しやすい。

例えば、メーターのセット釣りならこういう感じだ。

まずバラケを打ち込んだ時に水面付近で割れないように丁寧に扱う。ウキをしっかりなじませる。

バラケが拡散していくにつれ徐々にウキが浮上してくる。

数投したのちにエサ落ち目盛りまでウキがかえってきたら、しばらく様子を見る。

魚が寄っていたらウキに動きが出るが落ち着いて打ち返しを続ける。

やがて投入後からウキがふわふわしだすのでそろそろ釣れるチャンスだ。バラケが早く砕けすぎて上ずらないように丁寧に一個一個の作業を続ける。餌付けも気持ち丁寧にする。

魚がしっかり寄ってきたころ、エサ落ちまで行ってもウキがふわふわしているはずで、その状況ならもう少し待ってみる。

バラケと間違えて食わせ餌を吸い込んだヘラの強烈な消し込みアタリが出るので落ち着いて竿を立ててファイトする。

その後はウキの動きが止まらないように、コンスタントにバラケを同じ場所に入れ続ける。

このプロセスを、バラケの餌合わせやハリスワークなどを手伝ってあげながら一個一個追いかけていけばよい。非常にシステマチックで、ゴールに向かってどのように進んでいるのかを理解しやすいと思うし、管理釣り場の釣りにマッチしている。底釣りに比べてアタリがわかりやすいというのがとても重要だ。まずはアタリとあわせの一連の反応を繰り返して身に着けないと、魚が釣れないからだ。初心者はとにかくどれがアタリなのかわからないし、あわせもタイミングが合わない。

とにかく、シンプルに消し込みに絞れと言い切って成立する釣り方だから、明快でいい。そして竿も短く軽いし、道糸のラグが少ないので失敗しにくい。底釣りではまずラインメンディングが下手だとアタリもわからないしあわせも遅れる。

そもそもチクアタリとさわりの違いを説明していると情報量が増えすぎる。そしてやみくものあわせで上ずりを起こしてしまいやすい。スレが多くなるのもいただけない。目にでもひっかけてしまったらもう二度とへら竿を握ってくれないかもしれない。

浅ダナ両だんごとかチョーチン両だんごじゃだめか?というのもある。これは両だんごのタッチを調整するのがまた感覚的なものになりやすく、再現性に乏しい。

突き詰めていくとバラケの調整やハリスワークなどすごく難解な世界になりがちではあるが、基本に忠実にやれば管理釣り場で最初の一匹を釣れたではなく釣ったでゲットするにはいい方法だと筆者は思うのである。

道具や運のせいにできないシビアさとピクニック気分のどかさが共存する頭脳ゲーム

下手な釣り人に限って、このルアーじゃ釣れない、このエサだから駄目だ、なんてことを言う。それを選んだのはだれだろうねって思うのである。前にも書いたことがあるが、ルアーでも餌でも関係なくうまい人はなぜそれを使うのかをちゃんとわかっている。ダム湖の長期戦とかそういうマニアックなヘラブナ釣りはともかく、回遊魚とも違うので、運の要素が少ないのがこの釣りだ。野釣りでもちゃんと戦術を組み立てて、状況に対応していけば実績のある所ならばいずれちゃんとヘラブナは釣れる。満月に竿を曲げる釣りを体験するなら最も気楽なものの一つといえるが近年の競技ブームでその辺が置き去りにされてはいないだろうか。

うまい人は必ずそうでない人よりも釣る。ぼやいてるだけでは釣れない。そこはシビアだけど、成長をかみしめるにはとてもいい釣りだ。

さて、半年以上休んでいたヘラブナ釣り、色々忘れていると思うので、まずは近くの池で感覚を取り戻すために練習しないとね。

 

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