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サナギで釣れる気がしないあなたにあえてサナギを勧めたい

よくクロダイの餌として一風変わったモノという位置づけでサナギが話題になる。サナギというのは、ご存知のように蚕のさなぎであり、おそらく養蚕業が盛んな地域から産業廃棄物として大量のさなぎが排出される。これを釣りエサに応用しているのだろう。加工工程を見たことはないけど羽化してしまう前に加工する必要があるので意外と忙しそうだ。長野県でも盛んな養蚕業の「副産物」となるサナギは佃煮にして人間も食べたが、鯉の養殖にも大変有効だったことから佐久鯉のように鯉のブランド化につながったと言われている。まあ、陸上の虫なので淡水魚たる鯉が好んで食べるのは理解できる。問題はなぜ海の魚であるクロダイがサナギを好んで食べるのか、である。

関係ないけど火星移住計画の栄養源として考えられているとか

火星を開拓する夢をお持ちなら蚕を食べることに慣れておきたい

カイコを喰らう:製糸業の産業廃棄物から宇宙食へ(カイコ17)  ゴマのツブ焼き

最近、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の火星居住計画で食糧計画を研究する山下雅道教授や北京航空航天大学のHong Liu博士の研究で、狭いスペースで少ない餌で飼育できることから動物性食材としてカイコが注目されています(2-5)。

セミとかカタツムリもタンパク源として研究されているそうだが、先日戯れにナメクジを食べた人が寄生虫にやられて死んだばかりではないか。。。。それでも養殖が容易で高蛋白な生物は貴重なのだろう。確かに蚕棚でサナギを養殖するとめちゃくちゃ効率良さそうだが、食べたことがある人によると「まあ、まずいわけじゃないけどうまいもんでもない」。

実際、めっちゃうまいものだとしたらせめて蜂の子くらいはメジャーな存在であるべきだろう。蜂の子も食べたことないけど。

めっちゃ脱線したけどとにかくサナギは集魚力が強い

さなぎ粉はいろんな配合エサに最初から含まれている

さなぎ粉は単体でもメーカーから売られているが、ヘラブナの餌やチヌのコマセ餌にも含まれていることが多い。サナギのビジュアルが無理な人、粉末でも触りたくないかもしれないが諦めて受け入れたほうが幸せになれる。私のように青イソメをちぎった指でそのままおにぎりをパクパクできるようになったほうが何かと楽だぞ。さあ青イソメを引きちぎれ。さなぎ粉にまみれてコマセをこねろ。

昔、サナギの瓶詰めが売られていた

マルキユーが昔瓶詰めのサナギを売っていた。買ったことがあるが、当時まだ若くヘタレだった私はホルマリン漬けみたいになっているサナギの不気味さにビビって結局蓋を開けられなかった。あれどこやったんだっけ。これもどうでもいい情報だが結構あのビジュアルは強烈だった。

へらぶな釣りではセットの食わせ餌に誘引するためにさなぎ粉を使う

ヘラではタピオカなどの無味なうどん餌を食わせる釣り方がある。これ単体では魚に餌と認識されない。バラケ餌に含まれる麩やさなぎ粉、魚粉などの粒と同調したうどんがそのバラケ餌と一緒に吸い込まれることでヒットする。人によってはこのうどんをさなぎ粉に漬け込んで味付けする。真冬の釣りなどに有効なのだという。

つまり、サナギかアミエビか、というくらい、集魚力については定評のある素材ということで定着していると考えていい。問題は丸のままのサナギをチヌが食うかどうかだ。

サナギを信じろ

ニュー活サナギミンチ激荒という温泉旅館みたいな名前の餌

ニューなんとか館別館的な。この餌は冷凍で売られているが、サナギの雑に砕かれたミンチとコーンが混ざっている。これをかかり釣りやダンゴ釣りでのコマセに混ぜる、そしてサナギやコーンの粒を刺し餌としても使えるよ、というすぐれものである。これがエサ取りに苦しめられる釣りを一気にラクにしてくれたという意見が多い。やはり生の新鮮なサナギの臭いや旨味成分が強烈に魚を寄せるのだろう。

欲を言えばサナギの粉砕はもう少し荒いほうがいい

釣り始める前に激荒からサシエに使えそうなサナギを選別して取り出していくが、個人的にベストだと思うのが半分くらいにちぎれていて、中身が詰まっていて、それでいて少し柔らかいサナギだ。肉が抜けてしまっているとなかなか食わない。海中ですぐにエサ取りに突かれて殻だけになってしまう。また、黒変したかちこちのサナギも混じっているが、これは今のところ釣れていない。茶色くてある程度柔らかいのがいい。これを多めに取りたいのだが、たしかに日中6時間程度の釣りなら一袋で十分事足りる。名人が二袋とか使ったりするのを動画でも見かけるが、そこまででなくても魚は十分寄せられると思う。予算があるなら追加でどうぞ。

サナギを信じろ 寄せれば当たるから

実際にサナギで釣ると早いタイミングからアタリが出ることはあまりないので、つい釣れないと思いがちである。やはり、オキアミやモエビのほうが魚の反応は早いだろう。しかしそれはエサ取りや外道が先に食ってきてしまうことにもつながる。そういうエサ取りをかわすためにサナギを使うのだから、じっくり釣りこんでいかないといけない餌であるということを頭に置きながら粘ったほうがいい。

サナギというのは、冒頭にも書いたようにカイコガのさなぎであり、非常に高蛋白ゆえに臭いも強い。栄養の塊である。ただし海には普通に考えると存在しない餌である。しかしオキアミだって南極でとってくるものだし、モエビは溜池で養殖している淡水エビだ。青イソメは韓国産、ストロー虫はインドネシア産。普段魚が食っているものとは微妙に違うのである。微妙に違うけど、魚はあまりそういう事を考えずにアミノ酸に引き寄せられてくるのではないか。で、その違いの度合がさなぎの場合ずいぶん普段の餌から離れているからピンとこないのかもしれない。試しに水面下に集まっているコッパグレやサバにサナギをまいてみると、一旦寄ってきて直前で回避したり、一旦口に入れてもすぐに吐き出してしまう。カサゴやセイゴのような生きた餌に執着する魚も食ってこない。チヌの場合、好奇心が強く悪食で何でも食うという性質があってサナギの釣りが成立することがよく分かる。

事実、私は今年少ない釣行回数で釣ってきたチヌのほとんどはさなぎ餌で仕留めている。名古屋港であれ、浜名湖であれ、サナギでそれなりにウキは動くし、ダンゴによったチヌはよく反応する。よくコマセを効かせて捕食スイッチを入れてやることが前提になると思うが。。。。

外道だって釣れてくるぞ

サナギ餌でグレも釣れた。好んで食うというほどの食いっぷりではないと思うが、実際にガッチリ釣れた。

ハリがチヌ針であることを考えてもらえば、これがサナギ餌で釣ったグレであることもイメージしていただけると思う。

他にエサ取りとしてフグやアイゴもよく釣れる。アイゴを避けようとサナギで通して釣った先日の釣行でもアイゴまつりで大変だったことはリピーター読者の方の知るところ。ちょっと気持ち悪いけど、エサ取りで悩まされているならぜひサナギを餌に加えてみてほしい。

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