サイトアイコン P-squad Magazine(旧ドブログ

ヘラブナ釣りにPDCAサイクルとOODAループを取り入れる

今回はビジネス臭いワードを使うが、野性的勘で釣りが超上手い人は理論としてのこの2つを学んでいなくても自然とやっている。しかし我々にはそのような天性の才能がない。こういう場合、学び方とか、手法を学んでいくことが自分の上達を助けてくれるだろう。

そもそもPDCAとOODAってなんだよ

PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(反省)、Action(改善)の一連のサイクルを表すフレームワークの名称だ。大抵の企業で用いられている。それに、学校での活動や学習も明示的にであれ潜在的にであれ基本的にこれが使われている。部活やグループ活動なんかは目標、行動、反省、(改善)のワンセットになっていたはずだ。

PDCAについてはさんざん資料が出ているので詳しく知りたい人はググってください。

で、OODAである。OODAとはObserve(観察)、Orient(状況判断)、Dicide(意思決定)、Act(行動)の一連のサイクルを示している。発祥は朝鮮戦争に従軍した米軍パイロットの空中戦における行動指針である。

そもそもOODAはPDCAと比較するべき存在ではないしとって代わる存在でもない

PDCAとOODAはそれぞれ適した領域というか、使われ方がある。釣りに例えるとすごくわかりやすいことに気づいたので本記事を書くわけだが、PDCAを現場社員に延々とやらせて結果的にプランだけで止まっていては意味がないし、トップがOODAこそ最強PDCAはオワコンとか言ってると全体での意思決定や目的の共有がうまく行かない。にもかかわらず、巷には一定数「PDCAはオワコンなので次はOODAが来る」などと言っている輩がいる。三流コンサルというのはそのレベルで人からお金を奪うのである。ええ身分やの(ブーメランが俺に刺さる音)。

早速釣りで例えてみよう

ヘラブナ釣りに出かけるとして、まずいつどこに行ってどんな釣り方をするかを考えるだろう。そしてその日一日を通してなんかしらの目標を立てて釣座に入る。そして釣りが終わって、今日は釣れた、釣れなかった、という結果が残る。あるいは、自分の持っている道具ではどうにもならなかったりする。

こういうとき、次回の釣りに備えて情報を仕入れたり道具を揃えたり、釣り方を再検討するものである。これがまさにPDCA。

Plan→釣行日、釣り場、釣り方、情報収集、準備

Do→実釣

Check→結果の分析

Action→次の釣りの準備計画でやる事リスト作成

といったぐあいだ。この流れは誰でも同じことが言えるのですぐに応用できるだろう。「振り返り」と「整理」に重点を置くことができるのがPDCAの特徴だ。

もちろん釣り場でもPDCAは前述の大きなPDCAよりも内側で小さく回る。朝方は両ダンゴで良さそうだが昼は食い渋りそうだからセットもやろうかな、みたいな事を考えたりするものだが、一投ごとの目の前の観察と次の自分の行動が直結しているのではなく、もう少し長いスパンでの計画が存在している点でPDCA的である。そして今日一日の釣りのシナリオを構築、修正、展開しているので戦略的な領域となる。ここでいうところのPDCAは今日一日どんな釣りをしようかな、というシナリオとその結果の改善のためにあると考える。

一方、OODAループは実釣時の状況判断をサポートする考え方だ。ウキの動きから水中の状態を観察し、次に付けるエサのサイズや練り具合をちょっと変えてみようかとか、もっと大きな変更をしようかとか、そういうOODAの意思決定スパンと同時進行でウキの動きを見てどのアタリであわせるかを数秒しかない短い時間の間に「観測、判断、決定、実行」しているわけである。天性のセンスで上手い人はこれが無意識の間に回転してて、多くのフィードバックを得ているのだ。

Observe→ウキの動きを凝視

Orient→水中の状況を読み取る

Dicide→どこであわせるか決める

Act→狙いの瞬間に合わせをくれる

おわかりいただけるだろうか。

このOODAループの蓄積によって得られる情報がその外側にあるPDCAにフィードバックされる、と認識すると一日の釣りの組み立てが実にシステマチックかつわかりやすくなるのではないだろうか。

で、このOODAループ、アスリートや我々釣り人が目の前で起こることとその直後に自分が起こす行動を体系立てて整理したものだと認識してもらっていいだろう。これが「PDCAよりOODAループでスピード感うんぬん」といった勘違い野郎を生み出す隙を与えてしまったわけだが、釣具店とか通販サイトでOODAループなんか回るわけ無いだろ、と思うのである。あれはPDCAのPとDの領域である。釣具店で次回の釣行のシナリオを妄想してるでしょ、みんな。

というか、これでわかりますよね、PDCAとOODAの違い。全く内容の意味が違うのでフレームワークとして優劣を比較するものではありません。

両方絡めて勘所を押さえた活用ができると超頭良くなった感じになるよ!

OODAループの蓄積によって例えばこんな性質のエサをもっと用意するべきだ、というようなフィードバックが返ってくる。これがPDCAのCに返ってくるので、次回の釣行までに補充したほうがいいよね、となる。

そして現場レベルのPDCAとしたら、その後の釣り方のシナリオの変更に影響する。つまり、弁当食ったあとは両ダンゴを見切ってセット釣りに変えて挽回しよう、とかの改善施策である。

弁当食べならが午後の釣りを検討するときにObserveとOrientは機能しないのだ。つまりこれはOODAループの領域ではなく、ODCAでいうところのAの領域である。

では、PDCAについては大抵の釣り人が普段からある程度やっていると思うのでOODAについて少し掘り下げておきたい。

意識して自分のOODA自体を俯瞰することがPDCAのCにつながる

さて、いつまでたっても上達しなくなっている釣り人のOODAループを観察するとどうなるだろうか。もう一度以下のサイクルをもとに考えてみよう。

Observe→ウキの動きを凝視

Orient→水中の状況を読み取る

Dicide→どこであわせるか決める

Act→狙いの瞬間に合わせをくれる

仮にその日の釣りのシナリオがきちんとあるとして、以上のどれか、もしくは複数ができていないことになる。例えば、喋ってばかりでウキをちゃんと見ていない先日の私は完全にObserveをサボっていたことになるから、その後のすべてのプロセスが機能しなかったことになる。

あるいは、セッティングが適切でない(風がある割にウキが小さいとか、ハリスが長すぎるとか)場合、ObserveはちゃんとやってもOrientが機能しなくなる。ウキに正しい動きが出なくなるというわけだ。もちろんこれ以降のプロセスも無効化されてしまう。

Dicideができていないということは、あわせの判断をできないということになる。馴染み際の一発目を取るのか、馴染んでからを取るのか、見送るべきアタリはどれか、などそれまでの観察や経験で心づもりをするわけだが、例えば初心者はどれを合わせていいかわからないからここが決まらない。下手したらパニックになって行動が起こせない。

そしてAct。ぼーっと生きていたら見送ってしまう。見送ってしまったにしても、スレがかりになったにしても、ちゃんとウキを見た結果であればそれもそれで観察を兼ねており、次の餌つけがActとして機能する(次の一投をどうするかを決定するための別のOODAループが存在すると考えて欲しい)。そして次の投入で「釣るまでのOODA」がもう一度回るというわけだ。

この一連の思考と行動がOODAループであるという認識をして、自分の釣りで抜けている部分を修正(Check→Action)することがしやすくなる。というか、仕事にしろ遊びにしろ早く上達する人はこれがちゃんとできている。というか、釣りたいと思って工夫する人は多かれ少なかれ普通にこのOODAを回しているはずなのだ。

そうでないとしたら、釣れないのを魚のせいにする人なのだろう。

「まー今日はあかん!魚がおらん!」

そこで思考停止して次回につなぐためのPDCAが回っていない人もいる。そういう人はOODAも回っていない。どこかが破綻しているのだが、意識しないので気づかないのである。

自分の釣りを振り返ったり、その場の判断と集中力に自信をつけるためにPDCAとOODAを意識してみよう

釣具購入、釣行計画やその日の組立て、自分の成長戦略はPDCAで。

実釣時の一投ごとの判断と改善はOODAで。

今一度振り返ってみるのもいいかも。

モバイルバージョンを終了