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それぞれ面白いんだけど、底釣りやったことないのはもったいないなあという私見。底釣りで遊ぼう!

2月7日、フナの日に公開する予定が、ダラダラしてて遅れてしまったw

へらぶな釣りにおいて、底釣りをやったことがない、という方が思った以上に多い。たしかに、浮き桟橋などから釣ることが多ければ、いわゆるバランスの底釣りをやる機会は少なくなるだろうし、管理釣り場やコンスタントに放流がある池なら正直年中それで通そうと思えば通せる。

しかしその一方で、底釣りこそ基本で必須科目だ、という意見もあるし、底釣り以外は邪道という人すらいる。そこまで言うと面倒くさい感じがするので私はそうは思わないが、底釣りのやり方を知っておいて損はない。というか、本来底釣りには底釣りにしかない魅力があって、それをよくわからん老害がお仕着せするからその魅力が正しく伝わらないことに憤りすら感じる。

底で釣れるへらぶなは時折重量級も混ざる。

なんだかんだ言っても、底釣りにはヘラブナ釣りの基本、というか、釣りの基本が詰まっていると言っていいと思う。やれるけどやってないのと、やれなくてやってないのとではぜんぜん違う。しかしこれを必須科目だからといやいややっても意味がわからないうちに嫌になってしまうだろう。本来楽しい釣り方のひとつなのに、もったいないことになってしまう。

そこで今回は底釣りに適したシチュエーションと底釣りの魅力について語ろうと思う。底釣りのやり方については色々ある別途各種参考資料をどうぞ。

野池の底釣りではこんな外道も釣れてきたり、さらには鯉だ、ナマズだ、となるがそれはそれで一興

元来中層魚であるヘラブナをあえて底で釣るとはどういうことか

ヘラブナの魚体を観察すると、上に向いてへの字を描く受け口である。ちなみにこれ半ベラですね、と言いながらそれ完全にギンブナですよ、という魚については口の向きが下向きで、鼻が少しコブのように突き出していることが多い。それギンブナです。

猫ヶ洞のヘラブナ。尾びれ付近が太くギンブナっぽい体型だが口元は完全にヘラブナのそれである。

で、受け口であるということは、落下物や浮遊物を食うのに都合がいい形状であることを意味する。他の受け口の魚と同様、底にある餌を食うことも食うが、頭を下げたポジションを取らざるを得ないので魚からしたらややめんどくさい。受け口の魚にとって一番ラクなのは降ってくるもの、漂っているものを食うことだ。逆に、マブナ類は口が下向きに延びるようになっていて、水平に近い角度を保ったまま底にあるものを吸い込むことができるので「マブナは底を釣れ」なのだ。非常に基本的な話なのだが。

ということは、マブナが釣れるのに都合がいい底釣り、そこにあえてヘラブナで、となるとヘラブナの食性にマッチした釣り、というよりは、やや人間の都合に寄せた釣り方とも言えないだろうか。だからこれがヘラブナ釣りの基本、と言われるとちょっと違うような気はする。淡水のウキ釣りの基本としての底釣り、という広いニュアンスであれば大いに賛同するのだが。

しかしなぜあえて底釣りなのか。それは楽しさもあれば、合理性ゆえの理由もある。次に述べていこう。

底釣り独特のリズム感、釣り味、仕掛け方に高いゲーム性もしくは楽しみがある

底釣りはカッツケ釣りや浅ダナ釣りに比べて、釣りのリズムはややゆっくりになる。振り込んでからあたりが出るまでに、というか、仕掛けが馴染むまでの時間差がまず違う。底釣りのほうがウキが立ち上がるまで時間が必要なので、一日を通した打ち返し回数は減るし、仕掛けが安定してあたりが出るまでの時間も少し待つことがあるのでスロー気味になる(馴染んでいきなりアタリ、という状況もあるにはある)。

なので、一日を通して釣っても体力の消耗が少ないというメリットが有る。ビギナーにこそステップの一つとして底釣りをやってほしいと思う理由の一つがこれだ。

また、ハリが底にあるということは、魚がかかってから取り込むまでに要する距離が長く、また引き上げる間に魚の引き味を楽しむ時間が長く取れるということでもある。さらに、底釣りでは場所にもよるが竿も長く、このリーチ一杯で魚の引きを受け止める感覚は短竿とはまた違った趣きがある。竿を曲げる楽しみ、というのはこういうことか、という独特の味がある。底釣りファンの多くは、こうした釣り味、趣を楽しんでいると言ってもいいだろう。

そして、ゲーム性である。時間経過ごとに底に溜まったエサに興味を示したヘラブナが集まってきて、尻上がりに釣りやすくなっていくものだ。一日を通してその状況を作り上げていき、ウキ下やエサ付けを微調整しつつ固め釣りする至福の時間に向かっていくプロセスが面白い。もちろん、その結果として連発劇が始まったときはしてやったり、ニヤニヤが止まらない。一方渋いときはウキの返り、触りをじっくり観察し、振り込み方やエサつけを微調整したり、ときに誘いをくれたり道糸のテンションを足し引きする細かな駆け引きが始まる。その結果として僅かな、微細なアタリを引き出し、掛けあわせてやったときもまた、至福だ。

もちろんテンションの抜き差しとかそういうマニアックな話はもっと底釣りを楽しんでから考えたらいいことで、基本はとにかく底にエサを安定させ、エサからウキ、さらには穂先までの糸をある程度しっかり張った状態にして待つことだ。上ずりがどうのこうの、というのは、しっかり底釣り用の餌を付けて、しっかり振り込めていれば、あまり早く合わせることを繰り返さなければある程度回避できるし、あまりにウケがうるさかったら少し休んだら良い。

いずれにしても、ややもすると浮いてくる習性の魚を人間の都合(エサを底に安定させている)に合わせてコントロールしようとする釣りで、そういう意味では決して暇とか、守りとか、そういう面だけで語ることができない釣り方であると考える。

春の底釣りが実にのどかで心地よくてホント好き

底釣りが必須になる池もある

魚影が薄く、手前が極端に浅い池などはやはり底釣りをやるメリットが有る。また、冬場なども同様に、グルテンの底釣りが向いている状況がある。風が強い日などは段底も難しく、しっかり底と摩擦して止まってくれるグルテンの独壇場になることもありうる。やれるようになっておいて損はない。

春先も底釣りが面白い

花粉症が辛くて出かける気が失せるのだが、それ以上に春の到来はヘラブナの底釣りの釣果が期待でき、また春らしい陽に照らされピクニック気分の釣りができる魅力には勝てない。フナ類はいわゆる乗っ込みのシーズンを迎えるためここ一番の大物狙いにあちこちでかける人も多いが、近場で手頃なサイズの巣離れブナをコンパクトに釣っていくのも楽しいものだ。また、10尺前後で届くポイントであれば水深を測るのも、ほどよい馴染みを出すのも、同じ場所にエサ打ちするのも、比較的やりやすい。

桜の開花予想が固まってくる頃には、両ダンゴでも、両グルテンでも、日によるムラの大きさは避けられないがオーソドックスな昔ながらの底釣りで楽しい釣果が期待できる。釣り始めまで時間がかかるが、エサの消耗も比較的少なく、荷物も減らせる。この春は、底釣り独特の楽しさを味わってみてほしい。

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