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へら正館ホームページが役目を終え閉鎖

関東遠征記を早く書けという催促があった。もちろん書くつもりであるが、あるレベルを超えた情報量の記事を書くときは筆が進むママに徒然と、とはなかなかいかず、大変なエネルギーを要するものである。目下、長編動画の編集や本業絡みのあれこれ、その他政治的なあれこれ、そして教員としての仕事のあれこれと、さらに古い友人に呼び出されたりするなどしてもうくたくたである。落ち着くのはもう少し先になりそうだが、気分を整えてから改めてしたためるつもりだ。

さて、「へら正館」というホームページ(あえて、当時の文化を尊重しウェブサイトとは呼ばない)がその役目を終え、4月末で更新を終了した。というか、5月10日現在404になっていた。つまり、サーバ上にかのデータは存在しないことになる。

2001年から、2022年春まで有に20年以上も存在した、HTML手打ち世代の貴重なサイトであった。2001年といえば、スマホなんて当然存在せず、ブログも一般には利用されておらずその知名度もほぼゼロ。当時は掲示板というスレッド投稿ページで情報のやり取りをしていたし、ケータイのメールもプッシュ通知なんてものはなく、むしろこちらからサーバに届いていないか照会するという時代だった。

そういえばあの頃同級生の女の子からメールが届いていないか、必死にセンター問い合わせしたりしたもので、ありがたいことに何度かご縁があったものの全てそのフラグを自尊心のなさ故に自ら叩き割ってしまい、もったいないことをしたものだと、まあそれも青春といえば青春だな、苦いぜ…などと目を細める。そのうちの一人は一般的に言えば美人だしスタイルもいいし好みだったが、あれから10年経つと彼女はオーガニックおばさんに進化し、やばい健康食品とか反ワクとか謎の免疫力とか陰謀論とかアンチ科学を一通り履修なされ、観測できる限り実質黒魔術みたいなライフスタイルを嗜んでらっしゃる。切ねえ。

さて2000年代初頭と言えば、ガチンコ!ラーメン道で徹底して悪役に徹する高沢氏の素人とは思えない悪辣ぶりに舌を巻き、ボボボーボ・ボーボボがゴールデンタイムに放映されていたり、クソみたいなラップだかなんだかが蔓延りだらしない腰パンがかっこいいとされたチャラくて憂鬱でカオスな時代。

よくよく考えれば、うちのクラブの若手集団が生まれたかどうかくらいの昔である。あいつらYou Tubeの存在しない世界を知らないから恐れ入る。(彼らが物心つく頃には動画サイトはおろか、スマホが市場に出回り始めている)

そんなあの頃からずっと更新されてきて、当時ハタチになるかならないかだった私もすっかりアラフォーである。前にも書いたがこれはレジェンドである。へらぶな釣りに関しては間違いなく個人ホームページの金字塔である。

最初に「へら正館」を見たのは、24歳の頃だったと記憶している。当時は風越池なんて土日は満員御礼、ろくに道具も持っていない若者である私の入る隙間などなかった。それが現在ではすっかり寂しくなってしまった。

独特の味がある文体、マメな更新。

それがへら正館の魅力だった。以前にも触れたので細かくは省略するが、27歳頃のとき、一度へら正さんにお会いしたいと思い、メールを送ったことがある。しかし、へら正さんが釣りをする日曜日はその頃仕事の日になってしまい、結局へらぶな釣りから離れ、そのままになって数年が経過してしまった。

2020年にへらぶな釣りを本格的に始めてから、「大変ご無沙汰しております。恥ずかしながら、あのとき連絡した者です」とFacebookで連絡し、それをきっかけに何度か釣りにお供させていただいた。さらに、お手製の竹竿まで頂いてしまった。今やへら正氏は80代であるが、FacebookやInstagramを駆使するハイパーコンピューターおじいちゃんである。スマホで写真を撮っては、まめにSNSにアップしている。時代に合わせ、情報交換の場をSNSに移行したと言う。

何歳になっても、新しいことに興味を持ち、変化を恐れないことを体現されていることに心から敬服している。

一方で私などまだ40歳にも満たないが、すでにビジネスで使うアプリの細かな設定にまごつき始めている(それでも同世代の平均よりはずっと順応性があると思っているのだが)。

すっかり遠出しなくなったと言うへら正氏はこのごろもっぱら落合池や加福で竹竿遊びに興じていらっしゃる。

果たして自分はあれほどよく生きられるだろうか。あれほどよく釣りを楽しめるだろうか。

間違いなく、私がへらぶな釣りをやってみようと思ったきっかけを作ってくれたのはお会いしたこともなかったへら正さんが作った「へら正館」である。その出会いがなければ、クリエイトクラブのあれこれも、ひだ池のあれこれも、関東遠征のあれこれも、なかったかもしれない。あるいは違う形になっていたかもしれない。

もしかしたら、このブログも誰かの心を動かしているのかもしれない。もしそうだったら嬉しい。

インターネットって、嫌なこともたくさんあるけど、捨てたもんじゃない。自由に表現でき、自由にお互いに影響し合える、素敵なテクノロジーだと思う。

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