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くぐれ、暖簾を、超えろ、己を サカエチカの楽園・酒津屋

珍しく日曜日に電車を乗り継いで出かけた。

軽く腹ごしらえでも、と立ち寄ったラーメン店で担々麺を注文。他にほとんど客がいなかったので嫌な予感はしたが、やってきたのは、なんというか全体から負のオーラが漂いラー油の鮮やかさ皆無の、中途半端にごまペーストが溶け出して工事現場のモルタルをこねているような感じの一杯だった。

まずスープを一口。しょっぱいお湯である。海水のほうがまだ旨味がある。出汁どこいった?

麺はギリギリ許容範囲とは言え、グズグズ一歩手前。

写真には出ていたはずの肉味噌が見えない。したがってごまペーストを塩水に溶いただけで旨味が一切ない。糖分ゼロ、みたいな勢いで、旨味ゼロ。普通に素人が作ってもここまでやらかすのは難しいのではないか。

一口目から残すことを考えつつ、結局完食した。量も少なかったからだ。二度と行くか、と思いつつ、なかなか行くエリアでもないから、「選ばない」ということもできない。悔しい。

個人的な好みの問題ならまだいいのだが、果たしてアレは、、、。

食事で大きく期待を損ねた場合、口直しといきたいのが人情である。なんか、そのまま家に帰ったらがっかりを家に持ち帰るようで気持ちが悪いのだ。たまのおでかけ、ここはやはり、楽しかったという気分で帰りたい。

用事が済んでから、乗り換え待ちを一人で気楽に過ごすのなら、あそこしかない!

というわけで、日曜日の買い物客でにぎやかなサカエチカの中にあって異彩を放つ「酒津屋」で手羽先や酸っぱいものでやろうと思いたち、久々にやってきた。

飲兵衛のサンクチュアリ、結界の奥はワンダーランド

地下街のテナントはたいてい間口をガラス張りにするか、入り口を広く取って中身を見せようとするものである。酒津屋は逆だ。所狭しと書かれたメニューが掛けられた壁と、暖簾がシャバと奥を隔てている。ここは朝から、おそらく夜勤明けのニーズも拾いつつ、一日中居酒屋として営業している。その暖簾をくぐるのに、それなりに勇気がいる。向こうが見えないからだ。事実、私も興味を持っていたが、実際にくぐるまで2年ほどかかったような気がする。

太閤立志伝やったことある人なら、あれの酒場みたいな感じ、といえばすごく伝わる感じのやつ。賭場以外ねw

江戸時代からの居酒屋スタイル

よく、遠山の金さんや銭形平次などで登場する居酒屋と同じような小さなテーブルと椅子が所狭しと並ぶ。メニューは隣の席の人と共有である。2~3人でやっている人もいるし、一人でマイペースにやっている人もいる。時折知らない人と会話が弾んだりもするような距離感ではあるが、店員も含め基本的にソロ客に絡んでくるようなことはない。

酸っぱいものと酸っぱいもの

いつもは瓶ビールだが、この日は生中。ガツポンとコハダでさっぱりとした味を楽しむ。ここに写っているもので合計1200円くらいだ。地下鉄栄駅直結でこの価格は安い。

コハダはやや大ぶり、肉厚だが骨や臭みなんてのは当然なく、噛みしめると皮から旨味が滲み出す。熱燗のアテにすればよかったかな?なんてことも思うが、ここは自由さが最大の楽しみである。ガツポンは柚子胡椒が添えられ、これがいいアクセントになっている。夏場なんかはこれが最高にうまい。

自由こそ救い

お値打ちに、マイペースに飲める店をよく行く場所ごとに押さえていきたい年頃である。この画像を酒好きの仲間に見せると、結構良い反応が返ってくる。そして価格を聞いて、二度驚く。これでも値上げしたらしい。たしかに前は400円のものが360円とかそんなもんだった気がする。それでも安いと胸を張っていいと思う。流石にせんべろの時代ではなくなってしまった感じはあるが、1200円でこれだけ揃えば十分でしょう。

名古屋といえばこれだよね

次にやってきたのは手羽先の唐揚げと、熱燗大。この組み合わせでも1000円くらい。手羽先がお値打ちすぎるのもある。地酒マニアなら、もっと気の利いたところで細かく好みの銘柄を指定したくもなるのだろうが、ここではそのような手間は一切不要。お手頃な白鹿の銘が入った徳利が清々しい。ただ、シンプルに、熱燗とだけ言えばよい気軽さがいい。揚げ物に熱燗かよ、という野暮な考えだってここでは邪魔なだけである。ただただ、好きなものを、好きなように食べたり飲んだりすればいいじゃないか。

酒が人間を駄目にするのではない。人間が駄目なものであることを確認するために酒を飲むのだ。 —-立川談志

手羽先が届いた頃には、乗ろうと思っていた電車は行ってしまうタイミングとなった。まあしょうがないよね、というダメさ加減。

タコのからあげと熱燗を追加。もうここまで来ると結構酔いが回って写真撮るの忘れた。

その後の乗り換えのタイミングを計らって、お会計。ちょうど3000円だった、ような、気がする??1時間ちょっとの滞在で飲んだ量としては危険水域だったが、毎回のことだが安さ故に頭がバグってしまうのである。愚行権を全力で行使。最近ちょっとめんどくさいことが立て続けにあったのだが、それを無事解決できたのでホッとしたのもある。

あの空気に飲まれると酒に飲まれるのは、毎度のことだったりするw

そういえばこれもソロ活だよね

みんなでうまいものを分かち合うのも大事な時間だけど、一方で自分一人でうまいものに囲まれるのもまた、大切な時間。名駅、金山でもこういう感じの場所を探しています。

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