HERA V15で釣ってきたのでレビューするよ！

gyottosai

1年前

ダイワが送り込んできた注目の「ニュースタンダード」、Vシリーズ。その中でも中尺で出番が多いであろう15尺を購入した。

発売初日からSNSでは購入報告、品切れの様子が相次いで、かなり売れていることが伺えた。その理由は、従来よりも軽量化した上に価格帯が月光シリーズとほとんど変わらない、しかも扱いやすい調子であるというその恐るべきコスパの良さと、おそらくユーザーが求めていたであろうモダンなスタイリングでダメ押しした、という点にあるのではないか、と考えている。

近年のシマノ製品のように、10.5、16.5といったいわゆる「テンゴ」のラインナップを採用したということだが、あまり数が出ないであろう11尺、13～14尺、17尺あたりをその一歩手前の売れ筋に吸収させて販売戦略上の理由で合理化したのだろう、と思われるが、実際それで何ら問題ないと思う。あらゆる工夫でこの価格帯を実現できたのだから、歓迎すべきだろう。

すでにVの扱いやすさ、パワーが話題になっているが、自分なりに使ってみたレビューをまとめてみたい。

3尺短い月光と同じ感覚の取り回しをSVFなしで実現している

V15で振り込んでみて最初に思ったのは、すでに所持している月光12尺と同じような重みだった、ということだ。実際に2つ持ち比べると、長いぶんだけV15がわずかに持ち重りするが、カタログ上の数値ではほとんど月光12とV15は同じ重量である。より高価な軽量系ロッドに比べるとやはり重いのだが、それでも従来の月光よりかなり軽くなっていて価格も殆ど変わらないというのは「道具の進化」そのものだと思う。

SVFカーボンを採用すると、価格も反発力もおそらくぐんと上がるわけだが、それを採用せずにこのスペックを生み出したのは今後のダイワ製品にも大きく影響を与えそうな気がしている。

無駄な意匠を省いて軽量化している（であろう）点が見られる

月光なんかは、竹の節を模したギミックがついているし、それによって2番3番4番も表面塗装がしっかりしている。その点、Vはメタリックオリーブドラブの単色塗装で、その表面塗膜も2番3番あたりではカーボンの巻き付けた節が浮き上がるほど薄い。こういう処理をしようと思ったら、竹をイミテートするのは難しいだろう。そういう意味では、機能性のために無駄な意匠を省いた、モダニズム的工業デザインだなあと思うのである。しかし、玉口のパールシルバーに輝く塗装や、ボディのメタリックカラーは刻々と変わる空や自然光によって表情も代わり、使ってて楽しい。

硬調先調子でありながら全体がしっかり曲がるということ

硬調先調子は仕掛けの振込や細かい誘いがしやすく、ヒットしたときも初動で浮かせようとするパワーを早期にもってこれる特性がある。とはいえ、このVはあくまでもパワーのピークが先調子なだけであって、ロッド全体で受け止める懐の深さがある、というのが特徴なのだという。おそらく胴の粘りがピークを支える2番あたりにかかるストレスをいい感じに分散してくれているのだと思う。

実際に釣ってみてわかったこと

まず、浅ダナセットという15尺としては変化球な釣りを試す。残念ながらこの日はあまり反応が良くなかったので早々にやめてしまったが、自分の力量でもある程度振込しやすく十分釣りになる。事前の予想通り、夏場のひだ池やつつじ池でペレ宙、ダンゴ釣りがとても楽しめる竿だと思う。

そして底釣り。むずっとした僅かなアタリも出遅れずしっかり初動から支えられる。ロッド全体にぐぐっと手応えが乗り、曲がっていく感覚は釣っていて楽しい。が、月光やXを使っているときより意識的に強めにためたほうが良さそうだ。というのも、パワーに余裕があるし早めに浮かせてしまいたいからだ。

唯一の弱点かもしれない点として、手前で潜られたときのリカバリーが結構大変であることを感じた。胴が曲がるといっても、胴にピークパワーのある竿ではないので、油断から手前で潜られてしまうと3～4番や胴で復元させようとすることになる。先述のように、胴も比較的曲がりやすい性質なので、そこがピークになってしまうと先調子の性能を活かせないからだ。どんな竿でも手前で潜られると面倒ではあるが、この点に関してはXの硬調胴調子という存在感が光ってくるのだなあ。Vが出てきたらもうXいらなくね？と思ってごめんなさい。彼女は彼女で稀有な存在なのです。

桟橋の下に潜られるようなことになると手を上げっぱなしでしばらくフリーズするハメになる。基本に忠実に、竿のパワーをしっかり引き出し前でしっかり浮かせて、水面を割ってから手前に誘導する意識を持ちたい。