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ヘラブナ久々の猫ヶ洞魚釣り場、両ダンゴで夏の終わりを惜しむ

以前から名古屋都心部からすぐそこで素晴らしいロケーションと伝えてきた猫ヶ洞池。ここはいつ来ても雰囲気が良いところで、平和そのもの。

秋になるとやがてくる冬の前にヘラブナ釣りをやっておかなければという義務感にかられ、時間の合間を縫って釣行した。

多分名古屋の市民釣り池でもっともストレスのない良いヘラブナ釣り場

向かい風の波立つ中接近戦に挑む

名古屋市内にはいくつか市民に開放された釣り池があるが、ここ猫ヶ洞池がもっとも面積が広く、また水質、魚のコンディションともに最高だ。水源が近く、水の出入りが良い。また釣りマナーも良く、私のようなよそ者にも親切な人が多い。ヘラブナの数もサイズもコンディションも良いので、ヘラブナを釣ってみたいというビギナーの方にオススメしたい。

魚の性格は野釣り場よりやや管理釣り場寄り。セットでもよくウドンであたる。しかしあえて今回は8尺浅ダナ両ダンゴでフォールのアタリをとる積極的な釣りを選択。向かい風で波が立つが、海のフカセ釣りの練習とばかりに軽い仕掛けで挑んだ。久々となると、セット釣りで明確な消込や馴染んで返してツンに絞っていくほうが数は伸ばせると思ったが、両ダンゴで遊べるシーズンとしては後半戦ということもあり、エサ合わせに若干不安があったがあえてチャレンジした。

今回の仕掛け

竿8尺 道糸1号 ハリス0.6号 上38cm下45cm関東スレ4号 ウキ パイプトップ浅ダナ用(風がなかったら無垢ロングトップにしたかった)

エサ 凄麩200cc ガッテン200cc 浅ダナ一本200cc BBフラッシュ100cc 水300ccからスタート。

軽重バラバラの麸材なのでよくまざるように丁寧に仕上げる。硬めに仕上がるので手水で調整しながら使う。棚までエサがもたないようならフラッシュを足して全体によく練る。凄麩が開いてくれるので、ある程度練ったほうが良い。

棚はウキからサルカンまでを80センチ位からスタート。ダンゴエサが馴染んでいく過程のあたりを取るので、沈み切る前に切ってしまう。そのため、実際の魚が餌を食うことを狙う棚は水深1メートル前後となる。

実釣開始。秋の西日が眩しい

徐々に寄ってくるがなかなかあたらず

いつもの西向きの釣座に構えたが、向かい風が強く、ここは向かい風の日は波がたちウキが揉まれてしまう。野釣りでは宙釣りでもダンゴが馴染んでからしばらく待つことも多いが、ウキが波に揉まれるのでなかなかアタリが出せない。また、浅ダナの軽い仕掛けなのでよく流されてしまう。30分ほどこのまま様子を見たが明確な食いアタリが出せない。

少し重いセッティングに変更

ゆっくり沈ませようとしてハリを軽いものにしたが、これが裏目に出て流されやすく不安定になったので変更。へら鮒スレ5号と、重めのハリに変更し、ハリスを5センチずつ詰めた。これで振込後のフォールで食わせることができる時間は短くなってしまうが、ウキがふらつくよりはずっといい。セッティングを変えてから答えはすぐに出た。消し込みをばらしてしまってからリトライした途端ウキが馴染みだした頃合いに完璧なチクアタリ。

8寸ほどのここでは小型に入るサイズだが銀鱗眩しい美しいヘラブナが釣れた。ややしっぽが短いが、水質、環境の良さが伺える見事な背中だ。

その後景気のいい消し込みが何度となく来るがうまく掛けられず打率低し。しばらく休んでいたツケだ。エサが固くなっていることに気づき、手水を追加して練り込み。すると次は消し込みでゴツンと重量感ある手応え。

これぞ猫ヶ洞の美味しいサイズ。尺サイズの見事なヘラブナ。鱗が完璧。このようなサイズが8尺でもしっかり寄せられるのがこの場所の魅力だ。ただ、8尺で浅い棚だと消込アタリの対処が難しく、合わせ切れしやすかったりするデメリットも有る。

上唇が欠損していて痛々しいのが残念。魚はくれぐれも大事に取り扱いたい。

続いてブリブリに走り回った良型。秋の陽光に照らされこれぞへらぶな釣りの楽しい時間である。腹部が膨れているのでよく餌を食べている個体だ。体高が高く尾びれ手前の肉付きがよくいかにもよく走りそうだ。

今度は少しサイズダウンだが尾びれの長い美人タイプ。相変わらず餌食いが良さそうだ。背中の盛り上がりが素晴らしい。ぜひこの調子でどんどん成長していただきたいものである。

今回最高の引き味だった個体。いかにも力強い体つき。こういうのが豪快にウキをひったくっていく。こういうサイズになると口も大きい。しっかりウキが動いているようならダンゴは小指爪大では煽られてもたないので、親指の爪くらいの大きめにつけてしまったほうがいいアタリが出しやすい。それでも今回のダンゴはゆっくり沈むように調整してある。もともと軽いガッテンに浅ダナ一本を配合しているからだ。

アイベラというか、これはオオキンブナ。ヘラ釣りではマブナに属する。この地方では一番普通に見られるフナだが、関東のキンブナよりずっと大きくなる。そういえばこの手の釣り場でオオキンブナはよく混じるけどギンブナはあまり見かけない、と言うか、ほとんど釣った記憶がない。マブナ釣りでは尺ブナを釣るのが一つの到達点的な目標と昔から言われてきているが、このオオキンブナに関してはわりと普通に尺物に出会うことができる。へらぶな釣りをしていて言うのもなんだが、オオキンブナは貴重な在来のフナなので丁重に取り扱いたい。

時々これを釣って「なんだマブか」と鳥にやっているクソジジイがいるがそのような品のない行為は謹んでいただきたい。ていうか引退しろ

上がりベラは可愛い一枚

エサがちょうど終わるかな、というタイミングで小気味よいツンあたりを出したのがこれ。それでもよく左右に走って楽しい一枚、これが当日の上がりベラとなった。夕日に染まる波紋がなんとも心地よかった。

午後の3時間でもツ抜けできた!

実釣開始14:30、納竿17時過ぎ。撮影していない魚も入れると11枚の釣果だった。久しぶりの両ダンゴで最初は不安定でこの調子だとうまく行かずに終わるかなと不安だったが、最終的に投入のたびにしっかりあたってくるほど魚を寄せ、時合を造ることができたので楽しい釣りになった。8尺と短い竿にもかかわらず、これだけの魚が足元まで寄ってくる。接近戦なので掛けた瞬間がすごくスリリングで楽しい。こうした釣り場が千種区にあるというだけで、なんだか嬉しくなってくるのである。

日没の池。この頃公私共に充実しており、今年の秋は、気分良く迎えられた。個人的なエピソードだが、初めてここに来たのは不登校だった中学生の頃からようやく脱出し、県をまたぐ電車に乗って通信制の高校に通い始めた頃。その時は釣りをせず、散歩だけだったが、この付近は10代後半の思い出がたくさん残っている。同級生と花見に来たり、バドミントンをしたりもした。それから猛勉強して大学進学、就職とステージが進むにつれこのエリアから行動範囲も離れていったが、鬱になって会社をやめ、それから働き始めた今の職場がまたこの近くといえば近くである。ひょんなことからここでよく魚が釣れると聞いて、30過ぎてから通うようになった。どうやらずっと千種区に育ててもらっている。

数年前、ここに通い倒していた頃はもっといろんなことが不確かで不安で、悩みながらせめてもの気分転換に通っていたものだ。あれから環境も徐々に自分に味方するように変わり始め、この日は釣りをしている最中にメールが来て、自分が本業でプチ抜擢されたことを知った。20年前ここでくすぶっていた自分に「お前は苦労するけど30過ぎても結構釣りしてて楽しそうだし、お前が釣りたかった魚をじゃんじゃん釣ってるよ。死ぬなよ」と伝えてあげたいのである。これからもまた辛いことがあるかもしれないけど、またこの水面に浮かぶウキを眺めながら、内観していけるようなライフスタイルは続けていけたらと思う。

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