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月光柔は入門から一歩先でぜひとも推したいヘラ竿

ごくごく狭い仲間内で多分最初に月光柔を購入したのは私だが、このところ野釣り出身の仲間(4人w)の間ではダイワの月光シリーズ、とりわけ柔が注目されている。まずはこの動画を見てほしい。月光柔10尺で42センチのヘラブナをヒットさせたところだ。(動画では10分過ぎから)

見てもらうとお分かりの通り、竿はめちゃくちゃ曲がる。グリップのすぐ近くまでの広い範囲でパワーを受けている。これを「弱い竿」とみる人が少なからず存在するのが残念だ。40センチを超えたへらぶなでも普通に取り込めるが、竿としては実際に柔らかい。しかしこの柔らかさというのは強い弱いのベクトルで語るには不適切である。事実、50センチを超えるコイもこの竿で0.5号ハリスにて比較的余裕をもって取り込んだ(曲がり切ってしまうので時間はかかるが)。

チヌ竿ってこんな感じだよね

チヌ用の磯竿、0号~1号などは胴調子、本調子の軟調であることが多い。チヌも障害物に沿って走る習性があるが、グレのように障害物の中に向かって突進するわけでもなく、頭をたたきつけるようにスイングさせるいわゆる「たたき」をみせたり、かと思ったら突然走ったりする。硬い竿だとこのショックを逃がしきれず、魚が暴れやすくハリス切れにもつながる。しかし、竿をしっかり曲げたまま耐えていればチヌのほうが疲れてやがて竿の復元力が浮かせにかかってくれる。リールを巻き始めるのはチヌの動きが止まって浮き上がり始めてからでよく、その弱った隙に一気に距離を詰めるのである。

ヘラ竿の場合はリールがないが、軟調竿の扱い方はこれとほとんど同じと考えて差し支えない。竿をしっかり曲げて最大限に反発力を生かしてやればよい。

軟調竿って実際どんな感じ?

振り込みの際の操作が硬調に比べてゆったりしたものになる。仕掛けが宙を舞う時間が長いことになり、横風が強いと苦しい。逆に風が邪魔しなければ、着水点の微修正に時間を使える。あわせた時は硬調に比べて魚の重みが手元に伝わるのが遅い。とはいえ、あわせ自体は特に難しく考える必要はなくいつも通りで大丈夫。硬調先調子の竿に比べてヒット直後にしっかり竿を立ててやりたいが、竿が柔らかい分だけ、のされかけても実は糸に無理させず瞬時にリカバリーしやすいという利点もある。

そのぶん、仕掛けも細糸が使えるというメリットがある。実際ハリス切れの回数はすこぶる少ない。

あと、軟調竿の見逃せない点として魚が暴れにくいという点がある。そもそも突っ走ろうとしなかったりする。それで、ヘラブナはゆっくりと頭を振り低速で移動しながら違和感と格闘しているうちに浮いてきてしまう。これがガツンとした手ごたえを与えてしまうとヘラブナは驚いて走る。硬調竿の場合はこれを穂持ちから3番あたりの反発力で受け止めようとすることが多いが、この竿は全体で荷重を分散しながら受け止めるイメージになる。

こういう竿の特性として、クッション性が高いぶん「遊び」が大きくなるため、魚が左右に走った時のカバーに時間と面積をとられがちである。これによって竿が長くなってくると両隣へのプレッシャーになりやすいデメリットが生じる。両隣との間隔が狭い状況では12尺などは苦労するかもしれない。また、野釣り場などで障害物が絡むポイントでは軟調竿は避けたほうが無難だろう。

柔10尺のウドンセットで42センチ!

この価格帯の軟調竿であるという存在自体がありがたい

月光柔を絶賛する理由の一つが、手が届きやすい価格帯で珍しい軟調のセッティングであることだ。この価格帯の竿は多くが硬調先調子である。そしていきなり私のような未熟者&貧民が「玄むく」や「伊吹」を揃えるのはかなりしんどい。そこでこのような調子の竿が1.5万円~2万円前後で手に入るのはとてもありがたい。先にも書いたようにこの価格帯以下の竿は硬調先調子が多いのだ。ここで全く違うフィーリングを体感すれば、ヘラブナ釣りがますます楽しくなると思うのだ。

ふくよかな釣り味はのんびりした1日に良く似合う

これまで実釣で使ったことがある月光柔は7尺と10尺だ。7尺は仲間のsatoさんがひだ池決勝の短竿チョーチン釣りを見据えて購入したものを振らせてもらった。チョーチンセットということで、乗った瞬間の手ごたえ、重量級のヘラブナとのやり取りが気になるところだったが、実際にやってみると驚くほどソフトに魚を暴れさせず浮き上がらせられた。これだけ柔を推す私でも短尺チョーチンは苦手なのではないかと思っていたのだが、実際にやってみるとヘラブナをいじめずにいなしながら竿が勝手に引き上げてしまう手ごたえが官能的だったし、余裕で竿全体で受け止められた。

10尺ではこれまで浅ダナ両ダンゴおよびセット、底釣り、チョーチンといろいろ試しているが、案外浅ダナ、カッツケ釣りと相性が良い。魚と穂先が一直線になりやすい浅いタナの釣りでは、そのしなやかさがファーストコンタクトでののされかけを引き留めてくれるし、空振り、スレをはじいたときの仕掛け絡みを軽減してくれた。ただ、10尺チョーチンに関しては、自分の好みでいえばノーマル月光のほうが楽しいかもしれない。底釣りの場合はそれこそまさに「the・へらぶな釣り」という感じでじわじわくる心地よさがある。

このような特性の竿は1日振っても疲れにくく、忙しさに疲れた週末のリフレッシュにもってこいだと感じている。40アップもしっかり釣りこなせるが、なんといっても7寸8寸のへらぶなの釣り味をより味わえるのが楽しい。とても良い買い物だった。私のようにヘラブナ釣りを始めてのめりこみ始めた方にはぜひおすすめしたい。

こうした綺麗なへらぶなを存分に楽しむには最適な一本。競技志向短竿志向が進んだ現代にこういう竿の存在がありがたい。

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