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【かかり釣り】固定オモリに残された位置エネルギーを読めれば遊動はめんどくさくてやってられない

興味深い話題を見かけたので多忙を縫ってしたためる。

ちょっと前まで、私もかかり釣りにおける落とし込み釣法ではもっぱら遊動式の中通しオモリを用いていた。しかし、21年夏からはもっぱら固定式のゴム張りガン玉を使っており、むしろ釣果は伸びている。これに味をしめてしまっているのでニシダ先生からは「ダンゴ釣りが基本だからダンゴをもっとやったほうがいいんやけど…」と苦笑いされている。

さてくだんの資料ではゴム張りガン玉と遊動ガン玉で魚の食ってる時間と引っ張り方が違う、という。遊動のほうが長い時間餌を咥えている。だから、はわせ釣りにおいては遊動のほうが有利である、と結論づけていた。

本当にそうか??

前提が成立していない。実際同じ状況は海中で再現できるのか?

動画ではラインにかかるテンションはほぼフリー状態だった。つまり、遊動オモリであればするすると無抵抗にラインを引っ張りやすい状態である。たしかにこの状況が再現できるのなら、そういうこともあるだろうし、沼みたいな水流のない釣り場で実際置き竿リールフリー状態ならこのようなこともあろう。

しかし、海には水槽と違って水圧と流れがある。いくら流れが弱い場所であっても、フロロラインは沈もうとするので多少はロッドとハリもしくはラインの自重が引っ張りあっている形になる。いくらテンションを抜いているつもりでも、ラインがロッドから垂れている以上、そうなってしまう。だから普通に釣っているなら魚が餌を咥えてフラフラとあちこちに行くような状況になる前にとっくに穂先に信号が伝わっているはずである。少々這わせていようが関係ない。というか、「這わせる」という概念が間違っている。オモリから手前側のラインは基本的に底を這うことはない。たわんだ分だけ、ラインは水流にあそばされ、あるいはオモリかラインが潮に押されて途中のラインが斜めを維持して最終的にバランスがとれるまでジリジリとオモリが潮下に転がっていく。ちなみに流れがゼロ状態でラインを出しまくったら、這うどころか絡むし、流れがないのにラインを送る理由はないだろう。

オモリがあろうとなかろうと、穂先で引っ張っているところまでテンションが引っ張り合いになった時点で魚にはテンションが伝わっていることになる。違和感というものがあるのだとしたら、そこでエサを離してしまうはずである。オモリがテンションに影響しなくなっても、ラインそのものが受けているテンション、穂先のテンションがまだ残っているのだ。そのテンションを足したり引いたりすることが重要なのであって。

また、それ以上にラインをだらりと垂らして放置しているのだとしたら、本命が食い走ったならまだしも、エサ取りに餌が取られていることに気づかないまま時間だけが過ぎていくことにもならないだろうか。

実釣時に水槽と同じような状況になるとは考えにくく、前提条件として成立していないというのが率直な感想であった。

あと、実験するなら実際のターゲットサイズが望ましい。リリースサイズではオモリの位置エネルギーと魚の吸引力や反転する時の運動エネルギーの引き算が合わない。魚の重さに合わせてオモリもスケールダウンさせないと前提条件が成立しない。それでも、海水の粘性とか踏まえると参考程度にしかならないけども。。。

モンスターの巣窟でグレ。

上記のグレは尺くらいあったのだが、0.8号だか1号だかのオモリをつけたオキアミの落とし込みで釣った。グレは「違和感」にうるさい魚というのが定説だが、適切なセッティングを見つけ出せば固定オモリでも食ってくる、という証明にならないだろうか。フカセ釣りもラインにかかるテンションの強弱を最適化してタナに食わせを送り込む釣りである。ウキやガン玉でコントロールしていくわけだが、全遊動は別としてタナまで仕掛けが入っていればウキ自体が魚の引張に対する抵抗になるわけで、それは海中でラインとエネルギーが相殺されて位置エネルギーが減少したオモリとどっこいどっこいなのかもしれない。

実際はラインがオモリの位置エネルギーをかなり無力化させているのでは

そもそも、実際は筏自体も微妙に前後左右に動くものだし、潮流もあるし、いろいろな要素によってラインは横方向にも、縦方向にもテンションを掛ける要素に揉まれている。そのラインテンション自体が実際に魚に対する「違和感」となることは計算に入れないのだろうか?ラインにかかる各種ドラグに負けずにサシエを底付近に落ち着かせるためにオモリを使っているわけで、ラインが受けている余計なドラグと穂先でコントロールしているテンションをオモリが相殺している状態であれば、固定オモリであっても比重を計算した数値以上に軽く動いてしまうだろう。ラインにかかる運動エネルギーとオモリの位置エネルギーの引き算で、残った分が魚の引張に対する最後の抵抗位置エネルギーということになる。これを少なくするということであれば、固定オモリでも可能である。

私はベテラン勢が軒並みゴム張りでやっていることを知り、さらに自分でやってみて釣果も出た上で考察してからから、ゴム張りガン玉を各サイズ状況に合わせてどんどんスイッチして最適解を探る釣り方に変えた。

流れや食い方でオモリのサイズを一投ごとに交換できるメリットは大きい。アタリが出やすい、あるいは仕掛けを安定させやすい程よいテンションを選ぶことができれば、固定式で何ら問題ないというのが今の所の感触だ。

こまめにスイッチして最適なテンションを見つけ出す

浜名湖の激流で3号オモリがゴロゴロ流されるけどグレが食う

参考までに、私がいっときよく通っていた浜名湖の釣り公園。ここは潮が走り出すとT字堤の内側も左右にガンガン潮が走る。そうなると、3号、4号とオモリを付けて、あるいはタングステンオモリをつけて強引に沈下させないと足元を探れない。それでも、チヌもグレも釣れる。ラインが受ける抵抗をオモリのテンションで押さえつけているのだが、それでもどんどん潮下に押されていく。つまりオモリに残された位置エネルギーはゼロに近い。ちょっとしたアタリもラインテンションさえ間違っていなければとれる計算になる。これは今シーズン実釣で証明したい。

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