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(1/2)釣りの上達に関連するダニングクルーガー効果およびラーニングカーブに教え魔が介入すると悪影響するという仮説

いっとき、釣りに行くことが苦痛で仕方がない時期があった。色々理由はあるが、その理由と言うか原因はともかくとして、釣果は思いっきり落ち込んだ。そもそも意欲が減退していて釣りたいと思っていないんだから、釣りたいと思っている人と同じように釣れるわけがないのである。

同じようにげんなりしている人の助けになればと思って本記事を執筆する。本当は今週末に迫った講演資料を作ったり、今週から始まる授業の準備をしなければならないのだが、この記事を執筆するのにかかる時間はせいぜい1時間なので気分転換ということで許してほしい。ちなみに、学説的に証明されていなよね、みたいな理論も含めて「俺が思う単なる仮説」として書いていくので、内容の正しさについては一切保証しない。まあ人間心理とか社会学なんて定説もちょこちょこ変わっていくけどな。

まず、前提としてソロ釣行しかしていない環境下において、釣りに行くのが嫌なのにでかけてまたうんざりするということは起こりにくい。なぜなら、行きたくなければ行かなければよいだけのことだからだ。飽きたら行かないし、嫌だなと思ったら他の遊びに興じればいい。つまり何が言いたいかというと、グループやコミュニティのような人間関係がそこに存在するから「ストレスを感じながら釣行している状態」になるということが言いたいのだ。

自己満足で済んでたソロ時代。あれはあれで楽しかった。

ソロ釣行ならそもそも前提が違うので起こらない問題

そもそも、ソロ釣行では自分の上手い下手はあまり可視化されない。自分という絶対基準で、楽しかったか、よく釣れたか、上達したかを感じ、それこそ自己満足に浸ればよいのである。これはこれですごく健康的な趣味である。そして、敢えてそのスタイルを続ける釣り人は多い。ヘラブナの管理釣り場にも、案外居るものだ。話を聞けば、「一人で気ままにやりたいんだ」という。趣味だから、それもありだ。

つまり、人間関係だ。人間の悩みはすべて突き詰めれば人間関係に行き着くのだ、と誰か超頭がいい人が言っていたな、誰だっけ。

さて、ソロ釣行とグループ釣行、どっちがうまくなるかというと、これはほとんどの場合グループ釣行だろう。データ共有とノウハウの伝授は一人でゼロから学ぶより圧倒的にスピード密度共に充実する。世の中に学校とか教科書が存在するのと同じ理由だ。並列でバラバラに動くより、集約して一気に動いた方が全体のコストが下がり、全体の幸福量が増えるというわけだ。

なので、上達したいと思ったら、ベテランに教わったり、コミュニティに所属するのが近道であることは間違いないと思う。実際自分もその恩恵は大きいと感じている。まずこれが前提。ということで、前提を押さえたので次に予備知識の解説。

日本一ディープなかかり釣り師から直接教わっているので、相当な近道だと思う。全然釣りの見方が変わったし、教わりに行くことは大事。

ダニングクルーガー効果と学習曲線(ラーニングカーブ)

自分なりにダニング・クルーガー曲線と学習曲線をまとめてみた。下記を参照されたい。

具体的な数値とかはともかく、だいたいこういうカーブなのである。しらんけど

ダニング・クルーガー効果というものがあって、つまりこれは「学び始めに謎の優越感、全能感による知ったかぶり期(バカの山)」から「自分はたいしたことないという現実を思い知らされ自信喪失(絶望の谷)」を経て、「徐々に能力を積み上げ本当の実力がつき始める(啓蒙の坂)」、「本当の自信を身につけて一人前になるゴール(継続の台地)」に至るという理論だ。詳しくはググれ。それにしてもバカの山というパワーワードよw

実際これが本当か嘘か、みたいな意見は色々あるようだが、これはある程度心あたりがあるのではないだろうか。そのダニング・クルーガー効果を表現したのが上図のピンク色の曲線である。心理学的に、統計的に実際そうなのか、というところは賛否両論というか定説と言えるものではなさそうなんだが、ついつい「あーあるあるだよね」と思わされる謎のインパクトがあるので、ネットで話題になったのは記憶に新しい。

さて、自分が思うに、というタダの妄想であるが、緑色の曲線を追加してみた。これは学習曲線。つまり学習到達度を示すもので、(そういうものだと仮定して)ダニング・クルーガー曲線にリンクさせるとこういう感じになるだろう、というものである。学び始めは簡単なところから入るし、やれるようになることもたくさんある。しかし、上達の壁というものは確かにあって、それが絶望の谷とリンクしているのではないか、という疑問である。

上達のためにはプラトー(停滞期)を乗り越える必要

継続は力なり、とはよく言ったもので、停滞シーズンに心を折らず、ブレイクスルーできるまで取り組みを続けることはその後に大きな結果を生むためには絶対に必要な関門になる。この停滞期を「プラトー」と呼ぶ。ダイエットでも同様に、ある日体重が減りにくくなり、しばらく変化を感じられない時期がやってくるのとよく似ている。

そのプラトーに差し掛かったときというのはしばしば「絶望の谷」ゾーンとシンクロするものだろうし、日々の変化や達成を感じられないというのはとても精神的にしんどいものである。何かの名人がなぜすごいのかというと、このプラトーを何度も乗り越えていった先の境地にたどり着いているからであり、尊敬に値するのである。

さて、自己評価というものは、絶対評価と相対評価どちらが健康的であるかというと、そりゃ絶対評価である。ところが、他人と比べる、あるいは比べられる環境になると、どうしても相対評価というものがつきまとってくるし、周囲からも相対的に評価されることになる。そのタイミングでやってくるプラトー。

賢い人はここで気づくと思うが、このタイミングで変な介入の仕方をすると人は簡単に心が折れてしまう。「絶対に」悪用してはならない。お前の事やぞ、と言われないように、お互い気をつけましょう。

プラトーを踏まえて学習曲線を考えてみよう。

つまり、プラトーを反映するとこうなる

こうやって、その都度その都度プラトーが発生し、それの連続が中長期的な成長となっていくわけだ。当然、この曲線は個人差、環境さがある。中期的なプラトーの中にはまた短期的なプラトーの連続があり、この時期を乗り越えられるかどうかが、継続できるかどうかを分ける大事な時期となる。だから精神的にきついのだ。

例えばソロ釣行などマイペースにやるんだ、という人はそれほどプラトーをストレスに感じずにすむ。それは学習曲線を緩やかにしているからだったり、相対評価から切り離された環境にいるからだ。急激な上達を求めたり、周囲との差を認識する必要がない。マイペースであるということは、時間を味方につけている、ということでもある。

別に誰もがプロを目指すわけではないのが生涯スポーツなのだから、その勾配をどう設定するかはひとりひとりの自由である。まずこれが大前提なので絶対に忘れてはならない。

ここまでが本題に対する前提であり、予備知識です

よろしいでしょうか。

ストップ!教え魔!!!!

さて、釣りに限らず趣味は何でもそうだが、初心者に絡んでいく教え魔、という存在が最近悪い意味で注目されている。

頼まれてもいないのにあれやこれやと世話を焼き、教えて、絡む。

教えている内容が正しいかどうかは問題ではない。問題は、その人の自由な時間を制限している自覚の無さである。なかなか良かれと思って近づいてくる教え魔に対してNOの意思表示ができる人は少ない。だから、最近はゴルフ練習場でそのような啓発ポスターを掲示し、成果をあげているというのが話題になったし、以前もこのブログで取り上げたことがある。

さて、このまとめ記事が実によくまとまっている。
ゲームをする上でいちばんやっちゃダメなこと。それは、初心者への”勝手なアドバイス”「気づく楽しみを奪うことになる」
https://togetter.com/li/1654569

そう!それもある!「気づく楽しみ」を奪うのは実に罪深い!!とくに一人でじっくりやっていこうとしている人にそうやって「被せ」られると本当にきつい。その不快感を言語化できる人は少ないのではないか。

さて、教え魔の干渉が人にどのような影響を与えるかというと、メンタル、学習意欲、パフォーマンスとあらゆる要素にデバフを掛けてくるものだ。RPGでもなかなか死なない体力を持ちデバフ攻撃を重ねがけしてくるタイプの敵ってめちゃくちゃうざいじゃん。

その教え魔が、初日、あるいはプラトーのタイミングに現れ、干渉してきたら…きっとその人はその遊びが嫌いになる。上記の記事にも書いてあるように、理解する喜び、学ぶ喜びに先回りするようなことをされたら、やる意味がない。やる意味がないのだ(大事なので二回)。

本題のさわりで一旦締めくくるが、教え魔がしばしばプラトーのタイミングでやってくるのはなぜか

教え魔は徹底的にマイペースなタイプや、すでにある程度上達して世界観を確立した人には寄ってこない。しばしば、ある程度やってて初歩からワンステップ進んだ辺りで足踏みするタイミングで現れる。ご賢察のとおり、ターゲットから今一つうまくいっていない様子を感じ取るからだ。そのタイミングが、教え魔をやって優越コンプレックスを満たすには絶好のタイミングなのである。ああ、気持ちいい、というわけだ。おぞましい。

ジャンルの盛り上げを望む我々としては、こうやって初心者につけ込む教え魔をはじめとしたモラハラを排除していかなければならないというめんどくさい現実と向き合わねばならない。さて、教え魔が成長曲線にどのような影響を与えるか、次回はグラフを使って掘り下げてみよう。つづく。

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