当ブログはここ2年ほどチヌ釣りに傾倒しているが、その中でも依然として連日よく読まれているのが以前に書いた記事「ヘラブナ釣り業界の危惧:人口減少について」である。知り合いやコメントをくださった方からのフィードバックも色々と考えさせられるものが多い。
釣りに関すること、そして人間に関することがヘラ釣り人口減少の原因という意見が多い
整理していくと、だいたい大きく分けて2つの要素になることがわかってきた。釣りやジャンルの文化の誤解や敬遠といった釣りそのものに関すること、そしてマナーの悪さや民度の低さ、めんどくさい人間関係といった人間の問題である。
そして、新規参入が増えない、ということと、経験者が離れていくという2つの要素も分けて考えたほうが良さそうだ。
新規参入の障害 | 定着の障害 | |
釣りに関すること | 道具が多い、手軽でなさそう、ツールがダサい、難しそう、何からやっていいかわからない | 釣れない、難しい、合わない、道具が揃わない、面白さがわかるまで続けなかった |
人間に関すること | 釣り場の輩のせいでそもそもヘラ釣りへのヘイトが高い、マウント取られそう、クソジジイばかり | 釣法押し付けジジイの存在、マナーの悪い集団に追いやられる、例会がしんどい、いじめられる |
だいたいこんな感じで書き込んでみることができる。内容は完全に主観だw
今回は、人間に関することを中心に考察してみる。
さて、ヘラ釣り師にも色々あるんだけど
へらぶな釣りというのは外から見ていると、全部同じに見えるかもしれないが、そのジャンルの中でも結構スタイルに違いがあるというのをご存知だろうか。
もっとも鮮明なジャンルの違いといえば、管理釣り場主体か、野釣り主体か、という違いである。そして、仏教の各宗派のように細かく枝分かれしていくのである。ダムの大物狙い専門の人と管理釣り場のとーなメンターが見ているヘラブナ釣りは全く違う景色だったりするし、両方やる人もいれば、自分以外のスタイルに全く興味を持たない人もいる。本来はもっと詳細になるとか、色々あると思うが釣り方やスタイルの違いをベースに私なりに下記にまとめてみよう。
管理釣り場派 | 管理専門 | 競技志向 | トーナメンターなど。最新技術を駆使する。 |
例会志向 | グループ釣行で中にはトーナメンターを育てる土壌になるところも | ||
マイペース派 | 一人または少数で自分らしい釣りをのんびりやっている | ||
特定の管理池専門 | あのおっさんいつもいるよね | ||
野釣り派 | 常連 | 年金生活者とはいえマジで365日に迫る勢いでくる人も | |
自治者 | 常連の中には草刈りや掃除などをする人もいる。カンパを集めて放流資金にしたり関係各所との調整までやっていたりもする | ||
マイペース派 | ビジター的存在で一人でやっていることが多い。 | ||
ダム | 巨ベラ師というガチ勢が存在し独特の存在感を放つ。連続車中泊、ナイターも辞さない世界。もはや別ジャンルである。 |
で、この表の分類を大抵の人はいくつか重複して属性として持っているのだが、私の場合は管理釣り場も野釣りもやるがマイペース派である。ほぼ単独釣行だし。
可視化された民度の低い連中は地元の池の常連だったりする
さて、このように一口にヘラ釣りと言ってもいろんなタイプや釣りのスタイルがあるわけだが、だいたいマナーが悪いとか印象が悪いと言われるのは、その中でも可視化されやすい近郊の野釣り場を主戦場にしているパターンか、管理釣り場でオラついているパターンだが、ヘラをやらない人から可視化されるのは基本的に野釣り場だけであることを考えると都市近郊の野釣り場でマナーが悪い連中ということになる。
以前にも書いたが、私もそういう民度の低い池で嫌な思いをしたことがある。「そこは誰誰の場所だからどけ」「若い奴が何しに来た」このようなことを言われることもある。申し訳ないが、そういう池にいつもいて偉そうにしている連中というのは巷でいわれる感じの悪いヘラ師像そのものだったりする。もっとも、これは小さな漁港の防波堤でも同じ現象が起こっているものだが。
新しい人が来たら来たで、ざわつくのはやめろ
先日、ヘラブナの管理釣り場に出かけたら、珍しいとは思うが、単独で女性が釣りに来て近くで糸を垂れていた。一式道具を持参し、丁寧な釣りをしていたように思うが、その反対側にいる常連の年寄りが口々に「あれ、若いのがおる」。ここまではいい。
「女か?」「女だな」「女だ」と、ぼそぼそのつもりだろうが噂するのである。釣りをする人ならわかると思うが、水上というのは音が驚くほどクリアに遠くまで届くものである。たぶん、本人に聞こえていたと思う。そういうとこやぞ!!そもそもあいさつもしないなら他人について触れないのがマナーだし、せめて、「めずらしいね」「女性も来るんだね」くらいにしておかないと、女、女って、令和にちょっと品がないのとちがうか?悪気はないかもしれんが、そうやってちょっと珍しい人が来るたびにざわつかれると、一言さんが余計に来づらくなってしまうのでやめてもらいたい。
初心者歓迎の取り組みは各所でやっているけど
たとえば、加福フィッシュランドは料金が安くてレンタルもあるので、ヘラブナ釣りに対する興味というより釣り自体あまりやったことがないけど釣りをやってみよう、というくらいの温度感で来る人たちが結構いる。一本針、グラスの釣り堀竿にグルテンエサだ。それでも、実は普通に釣れる。
それでなんとなくエントリー層と常連層は釣り座が離れているが、うまく共存しているし、レンタルで釣る人たちがのびのびやっている。これは比較的ヘラブナを身近に感じてもらう取り組みとしての成功例かと思う。
本来このくらいイージーなものであるべきなのだ。あえて言えば、所詮フナなのである。狙ってたくさん釣ろう、大きなものを選んで釣ろうと思うと急に難しくなるが、冬でもない限りちゃんとセオリー通りやれば初心者でも一日通して必ず釣れるチャンスはある。どんくさいように思える棒ウキと一本針でグルテン丸めてくっつければいつかは当たる。最初はそのくらいシンプルでイージーなものでいいと思うのだ。
スタイルよりも、そういう入り口がきちんと用意できる場所を用意しておくことが重要ではないか。初心者が来たら、ざわつくんじゃなくて、楽しんでもらいましょう。
興味を持ったら、もっと釣りたくなったら、まじめにヘラブナと向き合ってくれればいいと思う
ヘラ師がどんどん内容を難しくしてしまっているのは、本来もっとたくさん釣りたいからであって、ヘラブナが本来難しい魚というわけではないはずなのだ。そこに間違いなくいるわけだし、まずはツンアタリだけ理解できればなんとなかなる。我々が釣れない状況でもどうにか釣ろうとするとか、縛りプレイとかに走るから難しいのである。
例えば野池なら立ったまま述べ竿で釣ったっていいじゃないか。管理釣り場でもとりあえずそろえてみた出来合いの仕掛けで釣ってみたらいいじゃないか。初心者はそこへの一歩もなかなか入りにくいのだ。多くがすでにベテランだから。私もそうだった。それで、例えば竿掛けの必要性とか、より状況に適したウキの必要性とかを感じるようになれば、進んでいけばいい。メーカーも含めた業界に、それをガイドする仕組みが全くないのである。その点、加福でやっているレンタル竿は、やってるほうはそんな意識はないかもしれんが、入り口を広げることに大いに役立っているのである。
確かに、うまい人はめちゃくちゃ釣る。釣れない状況でも釣る。そういう腕の差が明確に出るジャンルだし、それが面白さなんだけど、基本を押さえれば、高価な道具でなければ釣れないという魚ではない。より釣りやすくしたいと思ったら、道具も色々増えていくだろう。そういうステップアップも含めて楽しんでもらう仕組みが明示されていないと、入りにくいかもしれない。
というわけで、次にこのテーマを書くときは釣りそのものについての考察をしたい。