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【ヘラブナ】静かなアワセで丁寧な釣りを

ヘラブナ釣りはウキの一瞬の動きを見逃さず反射的にあわせてやらないと釣れない、と聞いたことがないだろうか。特にヘラブナ釣りをしない人にとっては印象深い話題かと思う。今回はヘラブナ釣り歴が浅いけど考察したい人向けに書いているので、ベテランの方は生暖かくご笑覧ください。

実際ダンゴをくわえこんでも異物と認識したんじゃないかというレベルで吐き出している事が多い

実際水中映像などを見ていても、ヘラブナはダンゴエサがバラけて浮遊する粒子を吸い込みながらダンゴに近づいていく。そしてダンゴ自体を食っていいと判断したらぱっと吸い込むのだが、多くの場合はすぐに吐き出してしまう。その間0.2秒位だ。それがツンとか、ズバと表現されるようなウキのアタリになると釣りやすい。しかし、非常に食いの立っている状況ではダンゴをくわえこんだまますでにハリ先が刺さって和感を感じたのか、あるいは勢い余ってかはわからないが、とにかく走っていってしまうこともある。むしろこの場合こそ出遅れると竿がのされて道糸が伸び切り切られてしまう。

いずれにしてもアタリに対して俊敏に対応し、実際に反射的に竿を立ててあわせてやる必要がある。

瞬時にあわせる必要があるけど強かったらだめ

冬場はともかく、夏場は魚も元気でウキも大きく動く事が多い。そしてハリスは浅ダナでは基本的に短いし、チョーチンでは長いもののウキと竿先の間隔がほとんどないため、「あそび」が少ない。

そのためいくら俊敏にと言っても、タイミングがバッチリでも、力が入りすぎてハリスがそのショックに耐えられないことがある。それと、魚が走り始めていた場合は余計にその頻度も上がる。さらに、セットの上バリみたいな短ハリスだと余計にだ。

したがって、ヘラブナのアタリに対してあわせるときは一見2つの相反すると思われる要素と向き合わなければならなくなる。

速さ、とソフトさ、である。

ハリス切れ多発はデメリットしかない、当たり前だけど

ヘラブナ釣りを再開してからというもの、数々のアタリをハリス切れで台無しにしてきており、ハリの消耗も多い。不経済だし、魚に優しくない。そして準備もリカバリーもめんどくさい。

ヘラブナ釣りでは事前に想定した使い方のハリをその日のぶん、あるいは今後当分のぶんを結んでおいて、ハリスケースに仕舞って持参する。人によるが、トーナメンターともなれば常に在庫管理に余念がないだろう。あるいは暇さえあれば結び続ける人から前日に慌てて作る人、当日必要になったら作る人もいるかも知れない。とはいえ、大会など時間的ロスを抑えたいときはやはり事前に想定した釣り方、状況に合わせて各種のハリとハリスの太さを揃えていくことになる。やっていることは完全に内職である。せっせと、想定したシチュエーションごとに数本以上は結んでいく。

だから、前日に準備するとしても合計で30本以上結ぶこともある。これが単純作業の苦手な私にとっては地味に辛い作業である。一応、ハリス付きのハリも売られているが、手がかかっているぶん割高だし、ハリやハリスの種類も限られる。そこでお気に入りの動画でも垂れ流しながら、あるいはヘラブナ釣り動画で予習しながら結ぶのである。一旦始めたら1時間では終わらない。

そうして仕込んできたハリスがブチブチと消えていくというのは非常に辛いものがある。環境にも悪いし。

さらにハリスを結び直す時間が増えるほど、釣果は伸びなくなる。状況改善を期してのハリス交換を厭うことはないが、さっきは問題なく使えていたハリスを交換するのは単純にタイムロス。こういう積み重ねが一日トータルで見たときに大きく出る。

長々脱線したが、結局アワセが原因のハリス切れを減らしたい。

反応は早く、手は軽く

本当に初心者だと、アタリに対して反応が遅れて空振るものだ。だからついつい竿を強く跳ね上げてしまう。アタリに対して反応できない理由は、アワセをくれることを決断したものの体がウキの動きを見て動き出すまでにラグがあるというフィジカルなもの、ウキの動きを見てどれがアタリかを判断するのに時間がかかる、当たるタイミングを予測できるほどウキの動きに対する経験値がない、といったところだろうか。カラツンにしても、アワセが遅いのではなくて、別の原因であると考えるべきだろう。

確かに一瞬で反応しなければならないが、しかしヘラブナ釣りをやっている人は軒並みアスリートみたいな筋力や反射神経を持っているわけではない。至って普通の人だったり、なにより高齢者が多い世界である。よく見えるに越したことはないが、視力、そして動体視力も特別超人的になる必要はない。確かに大会ともなればアスリートみたいな世界になってくるだろうけど、野釣りやフリーの釣りはそこまで考える必要はない。見送ってしまったら次にもう一度餌を打てばよい。

一瞬となると身構えるかもしれない。竿だって、穂先は水面下だから重たく感じるかもしれない。そこで、ちょっと発想を切り替えたい。

思ったよりも小さなアクションで針先にパワーは伝わるよ

例えば(状況によっては)大合わせが必要な釣り。カワハギ、石鯛、かかり釣りのチヌ、遠投した状態のルアー釣り。大合わせということは、穂先が大きく移動するのと、パワーを針先に強く伝達しようとする動きだ。

これが必要な理由は、針先までの糸がたわんでいたり、距離があるため糸が伸びてショックを伝達しにくい、魚の口が硬いのでしっかりパワーを伝達する必要がある、といったところだ。または、竿自体が柔らかい、長いため結果的に大合わせになるというのもある。

では小さなアワセでいい釣りはどうだろう。ハゼ釣り、キス釣りといった小物釣り、グレなんかもそうかも知れない。聞きアワセなんかも、同じだ。魚が走ったり、重みを感じたら追い合わせをする釣りも多い。ちなみにルアーでシーバスや根魚等を釣っててゴツンとくるあれはすでに向こう合わせ状態なので、スウィープフッキングなど軽く長いアワセで十分だ。

こういう口の魚なら、飲ませてからかけるとか、横にあわせるとか一工夫がほしい

脱線した。

ヘラブナの場合はどうかというと、基本的に穂先から道糸は直線状、風や流れで少々たわんだとしても、アワセをくれたとき糸は最初そのたわんだルートをたどるように引っ張られる。

自分でやっていても、針先をヘラブナに刺すために必要なエネルギーというのは実はかなり小さくてよいことに気づいてきた。ダムの老成魚など例外はあるかもしれないが、ヘラブナの口はゴツゴツしているとはいえ細軸のハリでもしっかり刺さる程度には柔らかいし、そもそも歯がない。S字に道糸がたわんでいるようならロスはどうしても生じてしまうが、道糸がしっかり水面下にあってゆるやかな「つの字」ならさほど気にしない。

穂先さえ引張り方向にちょっとでも動けば別に縦に持ち上げる必要もないので、跳ね上げ対策で斜め上や横方向にアワセる人もいるくらいだ。水中の道糸を水面上に持ち上げようとするときにパワーロスが出やすいので、穂先はある程度しっかり水面下に入れておいたほうが良さそうだ。水面下でもちゃんと道糸はハリ先を立てる程度には引っ張られるはず。

ようは、ハリが引っ張られたとき針先が立ち上がって数ミリでも刺さる方向に動けばよいのだ。勢い余って竿を跳ね上げようとすると、ハリは1メートル以上持ち上げられるだけの力が働く。果たしてヘラブナに対処するためにそこまでのパワーが必要なのか?ということだ。

そこで改善に取り組んでみた

もともと跳ね上げるのではなく手首を送り込むように、腕を前に押し出すようにアワセているのでアワセが大きくなってもメーター以上の深いタナでは仕掛けが跳ね上がることはない。しかしチョーチンでしょっちゅうハリス切れ。これではたまらん。ということで意図的にアワセは「軽く」することにした。持ち上がる穂先はせいぜい20センチくらい。そして握る手に力を入れない。手と竿の間にもショックアブソーバーを仕込んでいるようなイメージだ。短尺なら本当に力がいらない。できるだけ音を立てないようなイメージで、なにかに例えるなら、「演奏前の静かな一瞬にタクトを構える指揮者」のような感じだ。そういうコンサートを見に行くような習慣がないが、イメージでwタクトを構えたとき、すっと静止する感じのあれである。

結果、随分ハリス切れは減った。そしてとても重要だが、「ヒットを待っている状態」が長くなることで釣果を伸ばすチャンスが増える。

ヘラ釣り再開後、しばらく浅ダナやカッツケやってるときにあわせの失敗やスレがかりの反発で仕掛けが空中で一点集中し再起不能になることが多かったが、それもぐっと減った。一日通してそのようなトラブルがない日も出てきた。成長だ。。。。

面倒がらずに竿の長さを替えたら竿掛けの角度も調整したい

あいかわらず、スタートダッシュをキメられたり、スレがかりになったときはハリスも切れやすい。でもスレがかりで走られた場合でも口にかかるときと違って甘く刺さったハリは抜けやすいのか、限界が来る前にハリの方から外れる確率が上がった。口に刺さった場合はヘラブナの走る際に発生する運動エネルギーの向きと針先の向きがきれいに相反する方向になるのでしっかり刺さりきるはずである。

まあ、小難しくいろいろ考えてみたが、慌てることなく、ウキの動きをちゃんと見て、狙ってあわせる。そして水面を割る音を極力抑えるつもりで、そっと持ち上げるようにする。これをしっかり続けていこうと思う。

そして、一生懸命結んだハリスたちは消耗品だと思わずに、言ってみれば空母に格納された艦載機の数々、野球で言うならフォアボール数だというくらいのつもりで大事に使っていきたい。

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