この記事は2025年7月初頭に書いている。
公開されるのは少なくとも2026年以降である。
承認欲求とは切り離して熱中できる釣りジャンルを考えたとき、残っている最後の課題は鮎釣りだと常々思っていた。だから、誰にも言わずに始めようと思っていた。誰にも言わない理由は色々あるが、ひっくるめて言うと釣りに没頭するには考えることが少ないほうがいい、ということだ。
師匠について学ぶのが最短ルート、というのはよくわかっている。よくわかっているが、師匠をお願いするのは、壁にぶつかった時に考えたい。それまでは不器用でもがく自分なりに探求していく過程そのものを楽しんでいきたい。
鮎釣り経験は全くのゼロではないが
細かい事情は書けないが、若い頃に2度ほど実釣を体験したことがある。そのときは縁あって名手に習うことができたが、実際はトータル3時間ほどの釣りで、しかもオトリを逃がしてしまい、釣果はマイナス1で終わった。
生涯鮎釣果マイナス1というオイシイネタをいつまで保持するか
「俺鮎釣りやったことあるんだけど、釣果はマイナス1で、結局マイナスのまま死ぬと思うんだよね~」というのが長年私の持ちネタであった。
オトリは思いの外力が強く、油断すると手からスルッと飛び出してしまう。慣れている人はタモの外でオトリにハナカンを取り付けるが、最初はうまくいかないw
さて、このネタもろとも墓場まで行くというのもなんだかもったいないなあと思うことが最近増えてきた。
「鮎はやらないんですか?」と500万回くらい言われてきた
職場にて
「イワナ釣りですか、いいですね。先生、鮎はやらないんですか?」
ひだ池にて
「鮎やらないの?面白いよ」
客先にて
「岐阜といえば、鮎釣りでしょう!やらないんですか?」
そのたびに、「いやー、面白そうだと思うんですけど、始めちゃったら終わりだと思うんですよね、金かかるのに絶対面白いし」とお茶を濁してきた。
確かに鮎釣りをやっていないことはどこか不自然なのである。
決断するまでに起こったこと、考えたこと
私の祖父はどちらも鮎釣り狂だったと聞く。残念ながらどちらも自分の物心がつく頃には健在ではあったが大病していて、釣りを引退してしまっていた。遠方のため半年に一度程度しか会わなかったのもあって、直接鮎釣りの話を聞く機会がなかったが、おそらく金沢の犀川や富山の神通川あたりでやっていたことだろう。
鮎やらないの、の声を聞くたびに、鮎釣り師のDNAが心音に重低音のビートを刻む音がした。
次に、私は岐阜県育ちである。小学生の頃から川遊びで板取川や飛騨川に出かけることがあり、鮎釣りの風景をみかけたものだ。94年頃はデータ上でも、最も鮎釣りがバブリーで賑やかだった頃だ。釣具店には鮎ザオが伸ばした状態で展示されており、盛んに予約注文を受けるなどしていたのを覚えている。
鮎釣りといえば、オトリに野鮎を誘引して引っ掛けるという形の釣りは今のところ世界を探しても日本にしかないユニークな釣りなのだそうだ。
そして岐阜県といえば、きき鮎グランプリの上位を独占するような鮎の名所であり、鮎釣り文化が深く根付いている。あまりに鮎釣りが楽しくて、定年後に郡上に移住した知り合いがいる、という話は仕事先などで何件か聞いている。それほどに魅力的な地域なのだ。
世界的に珍しく、そして進化の最先端にあり、文化的な伝統の深い釣りが目の前にあるのだ。
いつかやろうと思っているうちに40代を迎えている。このごろ、「残り」の人生をどう生きるか、ということをしょっちゅう考えてしまう。元気なうちにやるべきことはなんだろう。
そんなある日、夢を見た。
ちょっとした渓流が目の前にある。それを見下ろしていると、そこをオトリアユがゆっくりと登っていく。野鮎がそれに追従し、背掛かりで暴れる。
それだけだ。これはもう神のお告げなんじゃないかと思うレベルだった。
起きたとき、「やるなら今だな」と思った。やらずに死んだら後悔する。それから1週間も立たないうちに道具を揃え、あとは釣りに行くだけだった。
道具一式で55,000円
今回購入したものはこんな感じだ。
竿:シマノTOMOAYU70(まずは渓流チックな支流でのんびりやるから)
仕掛け:オーナー 支流完全仕掛
掛針:オーナー 颯7号(後で考えたら6.5号も買っておくべきだった)
ベルト:ダイワのシンプルなやつ
タモ:PALMS アユネット(安価な割に作りがしっかりしている。アユルアー向けだが友釣りにも使いやすかった)
引き船:ダイワ 友舟560Wコヨーテイエロー
オトリ缶:ダイワ 友カン(中古品)
タビ:エクセル 先丸フェルトタビ
おもりはかかり釣りから流用、タイツなどのウェアは渓流から転用。いわゆるライトスタイルだ。
初めての鮎はどこで?
色々と検討したが、私が渓流釣りデビューした益田川漁協の大洞川、それも超有名ポイントの共和橋。ここにした。混んでいたらその前後。ということで早速Fishpassで年券を購入した。
ソロで鮎釣りに飛び込んでいきなりオトリ屋さんにソロで買い付けに行くというのもなかなか勇気がいるが、正直に「初めてなんでよろしくお願いします」とあいさつ。
「そーかね、そんじゃ、この中から好きなの選んで」
とたらいに8匹ばかりのオトリが供された。オトリの選び方というものも事前学習してあるが、ぐるぐる高速で泳ぎ回るオトリたちは多少の大小の差があるくらいで、どれもそんなに違いを感じなかった。きっといい状態のオトリが揃っているのだろう、と、やや小ぶりのものを3匹選んだ。
1500円を支払い、中古で購入したオトリ缶に詰めてエアレーションを開始。
釣り場まで移動した。
最初の関門、ハナカン
予習していたし、昔付けたことがあるからここはそれほど難儀しなかった。仕掛けも、完全仕掛というものがあり、あとは掛針をセットするだけでいい。
とりあえず釣りはすぐに始められた。
オトリを送り込むのって難しい
予習していたとしても、流れにオトリをなじませ、沖に出していくのは簡単ではない。養殖鮎は泳ぐのが下手なのでなおさららしい。
気長に張ったり緩めたりしていると、やがてオトリはグイグイと流れを登り、またちょうどいい具合の場所に入っていった。何度か場所を探っていると、ある瞬間にオトリが一気に登りだす。すると目印が震えた。聞き合わせするとブルブルと手応え。
意外とあっさり最初の一匹が釣れた。引き抜きもうまくいった。初めて野生のアマゴを釣った大洞川にかかる共和橋。アマゴは15年ほど前に橋の上流で釣ったが、鮎は橋の下流だ。共和橋はより思い出深い場所になった。
その直後、後ろから別の鮎師さんが声をかけてきた。
「釣れますか?」
「たった今生涯で初めての鮎を釣ったところです」
と返すと驚いていた。上流に入っていいか、というので、もちろんどうぞ、と返した。

釣れたそばからオトリを交換し、また流れに送り出す。なるほど、たしかに野鮎はよりアグレッシブに流れを横切っていく。鮎なりに任せていき、行きすぎない程度にコントロールしていけばまた目印が横走りする。
やっているうちに、橋の上からギャラリーおじさんが「あっち、こっち」と鮎の居場所を教えてくれるが、なかなか思ったようにオトリが進まないw

結局2時間ほどの釣りで5匹の鮎がヒットした。
初めてにしてはうまく行ったと思う。
その後一応本流でも竿を出してみたが、やはり70は短いようだ。鮎の居場所にうまく入っていかなかった。その後大洞川の上流に入ったが、オトリも弱っていて、2度目の根掛かりで水中糸が切れてしまった。後で復習したらどうも緩め過ぎらしい。そこで納竿とした。
鮎釣りのハイライト、塩焼き

鮎は糞出しだけしたら丸ごと焼けばよい。
味の方は、もうこれはもう川魚の王様。なんちゅうもんを食わせてくれたんや…(涙)これに比べたら(以下略)
まだ香りはそれほど強くないが、丸ごと食べられて、皮目の風味も異次元の香ばしさ。いつもトラウトルアーで釣り歩いていてスルーしていた魚がこんなに美味しいなんて!初めて良かった。気づいてよかった。
あと、一つ気づいたけど、鮎は生ゴミが全く出ないか、出てもほんの僅かである。
イワナ、アマゴも気になるような匂いがなく捌くのもラクだが、鮎はその上を行く。釣りで疲れたからだに優しいターゲットだw
それに引き換えチヌのめんどくささといったら
爽快でやりがいのある夏の楽しみが増えた
職業柄、真夏は結構自由な時間がある(から9月は貧乏)。とはいえ、暑いからかかり釣りは何度も出かけられないし、渓流釣りも単独行では危険なところまで行かないといけなくなってくるし、アブやハチがうるさい。
鮎釣りなら涼しいし、比較的虫や動物など生物の危険も少ない。川そのものが危険であることをわきまえて、慎重に、そしてまずは支流を中心に遊べばよりローリスクで楽しめるだろう。
早速次の釣行予定を立てたのは言うまでもない。





