鮎釣りってこんなにたくさんハリを消耗するものなんだな、というのが率直な感想だった。
実際はハリ先が相当な回数を岩にぶつけたり擦ったりしていることがよくわかった。オトリを引いたり泳がせたりしていると、ガリガリと硬質な手応えがあるものだ。言ってみればその都度ハリ先にペーパーがけしているようなもので、鈍らないわけがないのだ。
よく「ワンデーパック」と称して売られているイカリバリは12~14本くらいがセットになっている。そんなに使うのか、金がかかる話だな、と思っていたが、確かに自分も6~10本くらいは消耗するようになった。
チヌ釣りではラインが撚れたり根掛かりのあとや小型で30匹くらい魚を釣った頃に鈍っているからという理由でハリ交換をしていた程度だし、トラウトルアーでも数回の実釣のあとでようやく交換を検討していたが、もっと替えてもいいかもしれない。へらぶな釣りでは割と頻繁に結び直していたがこれは仕掛けのセッティングの問題からで、結果的にフレッシュなハリを使う頻度が高かった。
それらの釣りと比較してもハリ先にかかるダメージは大きく、かつフッキングに求められるシャープさの度合いも高いものが要求されるのが鮎釣りだ。
ワンシーズンを経験して思った「後悔したくないから万全の仕掛けで挑む」
鮎釣りをしていると、「ケラレ」という現象が時々起こる。野鮎がアタックして手応えがあったが針掛かりしない状態だ。しばしば逆針を外される程度にはインパクトがかかる。これは、ハリ先に野鮎が触れているにも拘らず刺さらなかったということである。実にもったいないことなのだ。
最初の頃はあまり考えず、一旦回収して逆針をつけ直してそのまま放っていたが、最近は蹴られる度ハリを交換するようになった。次のヒットで後悔したくないからだ。循環の釣りと呼ばれる鮎釣りにおいて、できるだけ短い時間で次のオトリを入手することが一日の釣果を左右するため、できる限り万全のハリ先で挑みたい。
イカリを巻くのにそれなりに手間はかかるが、慣れてくれば1日分を30分以内に仕上げることは十分可能だし、オフシーズンに作って在庫を増やしておくことで来年以降は余裕ができるはずである。それ以上に、限られた釣行頻度でより良い成果を出すことのほうが大事だと感じている。
特に夕方が近づいてきたころはちょっとでも心に引っかかりを感じたら交換できるものは交換してしまう。ハリのサイズや銘柄、イカリか、ヤナギかも含めてシステムも躊躇なく替えていく。

イカリかそれ以外か
チラシも少し試してみて釣果を出したが、何より印象的だったのはダブル蝶バリ。終盤の終盤でようやくその有効性を体感する機会があった。追いが弱まってくる終盤で初手の養殖オトリを送るとき、ダブル蝶バリを長めに垂らすと早い時間で野鮎が掛かった。尾びれから3センチほど離して良かった。それで、必ずダブル蝶バリを携行することにした。
ダブル蝶バリも通常のイカリ用鈎で自作できるので、作り溜めておく。6.5~7.5号くらいがいいだろうか。
イカリはもっぱら3本で使用した。4本にすると重くなることを嫌ってだ。オトリの泳ぎが良く小型の数釣りが望める局面なら、6.5号~7号の4本錨を使うかもしれない。
イカリ鈎の選定基準
一応各サイズそれぞれにストレートとシワリを用意している。
シワリタイプはスティング、J-TOP、こだまあたりを採用した。しかしこの三種類が一体どのくらい違うのか、よくわからない。まずは色々買ってみて知る、のフェイズだ。しかしこれはキープ重視でスティングと掛かり重視でこだまの2種類に集約されていく気がする。
ストレートは楔SP、忍を使った。これは明確にコンセプトが違う。楔は細くて軽く、シャープさが売りの黒鈎だ。これは序盤のオトリとりや渇水時に活用した。忍が一番出番が多く、引き釣り中心の展開で大いに活躍した。水深の浅いガンガン瀬やチャラ瀬、渓流ではハリ先が障害物によく当たる気がするのでこだまを使った。忍が光るのは流心やある程度水量のある平瀬を引き上げていくような釣り方をするときだ。数が出るときは一角もいいかもしれない。
ハリあわせという概念があり、あらゆる種類のハリを使い分けるというが、どの銘柄を、というよりは、どのサイズを、どのハリ先の角度を、どの重量のハリを、という視点で選ぶのが良いのではないかと考えている。あまりに多すぎても管理が難しいし、おそらく自分の技量ではそこを気にする以前に気にするべきところが多々ある。選択肢が多すぎるとかえってノイズになることはへらぶな釣りやかかり釣りでも経験した。シンプルに、自覚的な判断基準を持ちたい。
なお、大鮎狙いでも25センチ前後なら8号までのイカリで対応できた。パワー負けしない線径と硬い皮膚を貫通できる刺突性能があればよい。水深にばらつきが大きい益田川ではあまり重量のある大きいハリは根掛かりのリスクがあって使いづらかった。

仕掛け作り、イカリ結びも楽しい作業。子供の頃に読んだ釣り入門の本にも「仕掛け作りも釣りのうち」「精神的なことも技術のうち」と題して、フナ釣りの仕掛けの作り方などが掲載されていたが、あの頃のワクワクが今になって蘇ってきた感じがする。確かに手間もかかるが、出来合い品を買うよりコストが抑えられるうえに、この時間が楽しめているなら、やらない手はないのである。
こうなってくると、市販品を使うときちょっと物足りなさを感じるまでになる。やはり、自分で作った仕掛けで釣り上げるというのはかくも楽しいものである。
メイホウ製のA5サイズのウレタンフォーム敷ケースを買ったので、オフの間にここを来年前期に使用するイカリで埋めていく所存だ。





