力玉について語る

ヘラブナ釣りのセット釣法で定番の食わせエサ、マルキユーの「力玉」。猛暑真っ盛りのこのシーズンではどちらかというとセットの食わせはトロロをひっかけるのが最も釣りやすいと思うが、トロロ禁止の釣り場もあるし、特に管理釣り場においては力玉は夏場でも水面直下の釣りからチョーチンまで活躍するいわばスタンダードの一つ。

私もこの力玉はセット釣りを学んでいくうえで最初は半信半疑で使い始め、最初は釣れる気がしなかったが今では常にバッグの中に常備しているエサになったし、自信をもって積極的にセット釣りで一日を過ごすようになった。今回は私なりの力玉との付き合い方を書いてみようと思う。

セット釣りの食わせは疑似餌であるという認識をすべし

そもそも、力玉というのはそれ単体でエサとしての集魚力も発揮しないし、ヘラブナがわざわざ力玉を選んで食いに来るわけではなく、拡散・沈下していくバラケエサに反応してうっかり吸い込んでしまう、というものであることは広く知られているところであるが、じゃあカラバリでもいいのかというと、それでは釣れない。やはり、食わせエサ自体は必要なのだ。実際、カラバリではなかなか当たらないし、すれやすい。

それで、この食わせエサというのは、確かに植物性の有機物なのだが、先にも書いた通り単体ではほぼ釣れない。あくまでもバラケエサとの連携が必須になる。だから、これは有機物でできた疑似餌である、と考えたほうがいいのだ。トロロにしても同じ。疑似餌だから、拡散するバラケに同調させてやる必要があるし、ときに誘いをかけて反射食いを誘う必要があるというわけだ。

サナギ漬けはめんどくさいから作っていない

よく効くテクニックに、力玉にサナギ粉をまぶしドライヤーで乾燥させて成分をしみこませて締めた「サナギ漬け」がある。これはルアー釣りでいうところのにおい付きワームのようなもので、無味乾燥だった食わせエサにサナギのうまみ、香り成分を浸透させることで食いをたたせてやろう、そのうえで水気を抜いてハリ持ちをアップさせよう、ということらしい。

私はそんなに頻繁に釣りに行けるわけでもないし、トーナメンターでもないので、ノーマルのままで使っている。比較実験をしたわけではないので、どっちがより釣れるか、ということに関しては知らないが、ノーマルでは釣れないわけではないことは間違いない。しかし、ハリから脱落しやすい問題は残る。実際、本当に揉まれると弱い。なじみ切る前の落下時にあおられてハリから抜かれてしまうことが考えられる。食わせ専用に加工されたハリもあるが、確かに脱落しにくいとはいえ、完ぺきというわけではない。これが釣りをするうえで「食わせはちゃんとついてるかしら」という迷いの要素を一つ増やしてしまうことになるので、微妙に悩みの種である。しかし、サナギ漬けを作る手間とコストと天秤にかけると、めんどくさいが勝ってしまう。

まじめに釣り込みたいときはハードタイプを使う

なので、魚影が濃いような釣り場でなおかつしっかり釣りたいときはハードタイプを使う。実際ハードタイプは明らかに脱落しにくい。つれ方に問題があるとも思えない。問題は、店頭で品切れになりやすいことにある。そもそも、もともと力玉はハードタイプを基準にして製品化するべきじゃなかったのかと思うくらい、安心して釣りに集中できる。ノーマルのものよりは比重が重いのだろうが、個人的には下ハリスはすこしでもテンションを張らせて明快なアタリを出したいのでそれでいい。硬いから食わない、というのは理屈に合わない。どうせ、当たった瞬間に合わせを入れるのだから、吸い込む動作で口に入れさせさえすればいいからだ。しかしもしかしたら吸引力がすごく弱いくらい魚の活性が低かったらよりソフトで軽い通常の白い力玉のほうがいいのかもしれないが、どうだろうか。でも私の場合、そのような真冬のセット釣りでは魚信を練りこんだものも使うしそっちのほうが得意なのでよくわからないのが本音。

力玉は釣れない、という人もいるけど、釣れます

食わせエサに能動的に魚を誘引させるわけではなく、あくまでもうっかり誤飲でアタリを出させようという釣りであることから行くと力玉「だから」釣れない、ということは基本的にないはず。釣れない理由はほかにあります。バラケとの同調がうまくいっていない、バラケがタナに入っていないで上ずらせている、ハリスが長すぎてアタリがぼけてしまう、魚の活性自体が低すぎて餌を食おうとしない(その場合はしばしばハリスが短すぎる、バラケが強く拡散しすぎているといった問題が起こっている)、といった要因で釣れないのだと考えて対策していく必要がある。そもそも食わせを魚に能動的に食わそうと思うから釣れないのである。あくまでも事故、うっかりを演出するのだ、と考えるべきで、食わせの周辺に溶け出したバラケが漂っていないと基本的には釣れないし、セット釣りの経験が少なくて迷いが多いと食わせのせいにしてしまいがちである。

最初に書いたとおり、実質疑似餌である。ずっと待っていても釣れない。

まずはとにかくタナにしっかりバラケを入れていく

魚の活性がそれなりに上がっている時季なら、まずは基本に忠実にきっちりタナまでバラケを持たせて、そこからじわじわにせよ一気にせよ落としていくことを繰り返していき、仕掛け直下に魚を寄せていけばやがて消込のようなわかりやすい当たりが出てくるものだ。あるいは、バラケが抜けてウキがすっと戻り、ふた目盛ほど鋭くちくっと入るあたりもいい。私にとっては、バラケが抜けてしばらくウキがふわふわしたのちに一瞬静かになったのちに返してツンとくるのが最もリズムよく数を伸ばしやすい状態だ。

透明度の高いところで試してほしいのだが、思ったよりバラケエサというのは長くその周辺に漂っている。もちろん意図的に拡散する範囲を狭めて縦にどんどん落としていくような釣り方もあるし、野釣りのようにやや横方向にも拡散させタナにより長くバラケを漂わせたいこともある。そういうイメージで釣っていくが、細かい麩は結構長くその場に漂っているし、それを食っている魚もいるということだ。正しい高さでバラケが抜けているのなら、変な小細工をせずにじっくり寄せ打ちをしていくことでいずれウキが動き始める。いつまでたってもふわふわしているなら、ハリスの長さやバラケのつけ方を工夫する。もっと落ち着かせに行くのか、糸を張るのか長さを稼いで遠巻きの魚を狙うのか、その辺の問題になってくる。

力玉は一定の魚影がないとあまり効果的ではない

一つ欠点を言うと、魚影が薄い釣り場では力玉のセット釣りよりもグルテンを使った釣りのほうが釣りやすいのは確かだ。誤飲を誘うには、ある程度競い食いさせる要素がないと厳しいのだ。また、打ち込みのテンポがどうしてもゆったりになるので、寄せが利きにくく、テンポを速めればジャミが暴れてどうにもならない、ということになりかねない。時合いができてきたら時速5枚以上狙えるような釣り場が個人的な目安となっている。

秋口にセット釣りの練習をしておくと年末の釣りも引き出しが増えるよ

真夏は釣りにくいが、ある程度魚が落ち着いてくるころからいろいろ試しておくと冬の入り口くらいの気難しい時期の釣りの選択肢が増えて、また活性が低くても割とはっきりした当たりを出しやすい釣りなので食わず嫌いをせずにぜひトライしてみてほしい。昨今のマニアックに進化している両ダンゴの釣りよりもある意味では素直で釣りやすいと思うのだが、実際にある程度数が釣れるまではどうにも不安定になりやすい。冬になってからいろいろやって迷ったりドツボにはまるくらいなら、温かいうちにパターンをつかんでおくといいのではなかろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.