ISSEN by NSRチャンネルの仕事で、ノッコミの釣果が出てきたという鳥羽のやま栄渡船へ。ニシダさんというと、知り合う前はやま栄渡船によく通っているような印象を持っていたが、実はそうでもなく、大会役員としては出かけるけど釣りをするのは数年ぶり、という。
やま栄渡船というと、ベテランが集うかかり釣りの名所という印象を持っていて、一人ではなかなかエントリーする勇気がなかったが、なんたって現在進行系のレジェンドにしてやま栄渡船と関係の強いニシダテツヤさんと一緒ならこんなに心強いことはない。ちょっとした憧れの地に乗り込み、夜明けを待つ。
仕事ですよ、仕事
実際、夜型でしかも寝付きの悪い私にとって、こうした早朝からの釣りというのはとても苦痛を伴うものである。そこだけは本当にしんどい。実際、例会でもいつも泣き言を言っている。
出船は7時ごろ、ニシダさん、そしてNSRヘビーユーザーの世界の元さんのお二人は4時半頃到着。軽く雑談と打ち合わせをして、「ほな時間まで寝ましょか」。本当にそんなに器用に眠れるものだろうか。
ガチで眠りたいのに、眠れず時間を迎える。短時間に効率良く眠れる人が羨ましい。ともかく、ほぼ一睡もできなかったまま荷物を積み込み、乗船。

でも、めちゃくちゃ充実して楽しいわけである。楽しくなければできない領域というのがある。その先にこそ、歓喜のレベルで世界が広がっていると思う今日このごろ。もちろん、すぐにじゃぶじゃぶに儲かりまっせえ!というわけではない。でも、みんなで力を合わせて本当にいいものを伝えたい。ニシダさんとNSRユーザーの皆さんで色々と積み上げてきた唯一無二の存在であるNSRを好きな人が増えてほしい。
まだ始まったばかりとはいえ釣り業界にいろんな方の支えがあって個人でリターンできたことを、新卒早々打ちひしがれていた孤独な自分に教えてあげたい。
まだまだ、本当に色々とまだまだだけど、今後もなんとか積み上げていきたいと、斯様に思っております。
こちらが本日のポイントです

このときは見えていないが、カセは真後ろ側の牡蠣棚にくくりつけられており、また正面側にも牡蠣棚がある。これが風や流れで前後左右に思い思いに動く。そのため、状況によっては正面に牡蠣棚が接近するので注意が必要だ。
カセ自体は幅広で二人がそれなりに距離を保ったまま快適に釣りができるし、荷物も後ろに置いておけるどころか昼寝スペースともなる。
タックルはASRA 160D3、ラインは1.5号を巻いた。ハリはスーパー競技チヌ3号。流れがあるので、落とし込みのときは0.8~1号くらいのオモリを使う。
ダンゴはヌカ4kgに砂6kg。ただし、今回は旭家で買ったヌカだと思っていたものが実はすでに砂入りの配合エサになっていたものが残っていたので、これを使用。混ぜものはアミエビ、オキアミ、牡蠣。食わせはボケ(元さんに用意していただきました。ありがとうございます)、オキアミ、サナギを用意したが、結局ボケだけで良かった。
撮影は学びの宝庫

「釣具のポイントで買ってきた麦を…」
ポイントって中京地区にはないから、こういうときにああ、遠くの人と一緒に釣りに来ているんだなあと思う。
実際にダンゴ作り、ポイントの探り方、ファイト時のロッドワーク、エサの効果的な保存方法、それ以外にもいろんな技を見させてもらえる。動画では出せないことも多々。そういうわけで世界で一番早く、深く、リアルに触れているこの写真の私は実に贅沢な場所に立っていることになると書いたら大げさすぎるだろうか。いや、そんなことはない。大げさではなかろう。
蛇足だが、かかり釣りの取材が増えるということで桜マーク対応の救命具を買わなければならなくなり、去年買ったダイワの黄色いフロート、結構似合ってるなあと勝手に思っている。
かかり釣りの最先端を20年以上歩んできた凄みライブ

しばらく気配のない時間が続いたが、不意にニシダさんの穂先に僅かな動きがあった模様。自分も一緒に注視する。食ってるのか食ってないのか、弱々しい動きだが、チヌっぽいといえばチヌっぽい。
「ここで慌ててあわせてはいけない…」
「食わんかったらまた食わせたらええけど、この状況やったら空振ったらもう釣れへん」
「…いけ、…行け…!」
「これはいただき!」
最後に掲載しておくので、動画でぜひご覧いただきたい。
プロトタイプは細糸に合わせてセッティングされているので非常に華奢に見え、よく曲がるのだが、よく曲がるだけではない。しっかりチヌの叩きを吸収し、というかあまり叩かせない。パワーを減衰させる力のかかり方が超越しているからだ。チヌが暴れない。
そして、これも動画でよく見てほしい点として、淡々と落ち着いて処理しているようにロッド性能の高さゆえ見た目は大したサイズの魚がかかったように見えないのだが、リーリングの電光石火ぶりにも注目してほしい。
「巻けるときに一気に巻く」
チヌに主導権を渡さず、減衰が効いた一瞬の間に一気に距離を詰めていく。チヌはそのたびに頭を上に向けさせられるのだろう。力が入らず、浮いていく。

神が寄せたチヌを自分も釣るw
ある程度撮れ高が確保できた頃合いで自分も釣りに集中してみる。約得である。
時折ダンゴをうちながら、ボケで流れの中を釣る。テンションに気を払い、時折置き直してテンションを保つ。安定していたら置き竿にして、ダンゴを別うち…
イエロートップでおなじみの穂先がクイクイっと入っているではないか!

D1がよく曲がっているのだが、風が強い関係でカメラを置ける場所が限られ、こんなどんくさいアングルになってしまった。
しかし、とても優しいニシダテツヤ先生が別のカメラでファイトシーンを捉えていてくださった。

今思えば、どうせASRA MAXのプロモーション動画なんだから自分もMAXをお借りすればよかったと反省。使用しているロッドはMAX以前のモデルなので、多分買うことはできないが、これまた間違いなくいい竿である。
しかし、へら師ゆえに普段の癖で右手が前に突き出されがちで、肘が伸びていることが多いのでリーリングのときにちょっと出遅れる感がある。動画を見ていて気づいたので、そこらへんは意識して直しておこうと思う。


「今回も釣りました~撮影に来といて何自分が釣ってんねん!」
「いや~どうも、やりましたw」
手荒い祝福にもニッコリw
今回こそ、ダンゴで釣っていこうと思っていたのに、結局またオモリつきの状態で釣った。ダンゴ釣りでちゃんと釣れることが大事、という部分が今の自分の課題なのであるが、遅々として進んでいない。10月のはやし渡船で少しやったくらいにとどまっている。
その後、ニシダさんは最終的に追加を重ね、こちらは沈黙。やはり乗っ込みの走りは簡単ではなかった。そんな中でもほとんど皆無に近い手がかりを掴みきっちり結果を出していくニシダテツヤさんの凄みを目の当たりにする一日だった。

チヌかかり釣りがうまくなる!そんな動画を目指して
自分もかかり釣りを「やったことがある」人間だったわけだが、ニシダテツヤさんに出会うまでは難解で高度な釣り方をしなければ釣れないのだと思って、ボンボコダンゴを投げ込んでいたものである。チヌをむしろ遠ざけてしまうとも知らずに。
「チヌなんて簡単ですよ。絶対どっかのタイミングでやってくるし、ちゃんとエサ食うんだから。アタリもほっといたらはっきり入るんやから」
あくまでもこれは初心者が一日遊んである程度釣れるレベルに至るまでの話、という前提であるが、ニシダさんはこの持論を崩すことはない。もちろん、競技やシビアコンディションでの「そこにいるチヌを確実に次で釣る」みたいなレベルの話になるともうこれは超人の粋であるが、それはあくまでも熟練者どうしの技術の話であって、初級者が中級者になることは実はそれほど難しくないと言う。
しかし、海の中は我々には見えていないので、たまたまかもしれない「釣った」理由をあれこれ述べる動画をなんとなく見ていただけではどんどん妄想が悪い方向に膨らんでしまいかねない。NSRユーザーの方々と関わっていく中で感じたのは、巷に出回っているかかり釣りの定説と全く違う次元でものを考えているということだ。
例えばダンゴ。誰も、この配合だから釣れたとか、アンコだから良かったとか混ぜだから良かったとかいう事は言っていない。ダンゴとチヌの距離感、エサ取りの量、チヌのあたりを見れるラインテンションのかかり具合といった部分について非常に濃厚なやりとりがある。彼らの想像する海中の解像度はすこぶる高く、釣りの再現性も高い。
そう感じたからこそ、一般のかかり釣りファンがよりかかり釣りを楽しんで、上達していく喜びを感じられる手助けをできるような動画を作り、あくまでシンプルでよく釣れる、究極とも言えるNSRメソッドを伝えるお手伝いをしていきたいと考えている。
もちろんエキスパートたちのスゴ技も、臨場感たっぷりに撮りたい。
なぜなら、私も釣り好きの一人として、それを見たいし、体得したいからだ。
そして最終的に行き着くのは、ASRA MAXを手に海でチヌと勝負する瞬間であってほしいという願いも。