渓流ルアーフィッシングを再開してからずっと悩みのタネだった「アマゴのバラシ問題」。前回の考察記事では「PEラインのタックルにおいて、ラインテンションが張っているときにヒットするとフックの進入角度が浅くて弾きやすい、もしくは刺さらず直後にバレてしまう」ので、「連続トゥイッチからここで食うだろうな、というところで一瞬ラインスラックをあえて出せばより深い角度でフッキングしてバレにくいのでは」という仮説を立てた。
ゴン!くねくねくねくね!するー…という感じで数秒の間でアマゴがローリングからのフックオフ、というバラシ劇が連発する私の渓流ルアーフィッシングだったが、ここ最近のヒット率は如実に上がった。

いきなり結論から入りましたが、直前テンションオフについてもう少し詳しく
小場所の渓流で魚のチェイスが見える場所なら非常にわかりやすいが、ミノーを追ってきたアマゴにもうワンアクション往復トゥイッチを決め、スイッチが入ったところで一瞬だけ巻くのを止め、ロッドを気持ち送りこむ。その間0.5秒ほどだが、左右にワインドアクションしたミノーは一瞬惰性と流れでふらつく。これを意図的に演出したのがD-contactの言う慣性スライドなのだろうが、リュウキのような一般的なアップ対応シンキングミノーでも同様の挙動をする。というか、リュウキのほうが沈下がゆっくりなのでより間をコンマ数秒もたせられるように思う。
さて、その「食わせにかかる瞬間の0.5秒慣性スライド」。この時のラインテンションが張っていると、ヒットしてもバレやすい。というか、ここでテンションを抜いてヒットさせることによってバラシが減った。
この動きが魚に口を使わせる、とよく言われるが、それ以上に重要なのがテンションフリーでヒットさせ、いい角度でフックを深く差し込み、テンションが回復する瞬間にいい感じに向こう合わせが完了することなのではないか。
アワセは次のトゥイッチ的モーションで(結果的に)しっかり入る
ラインスラックが出たとしてもアタリはティップまで伝わるしラインもピンと張ろうとするのが目で見える。ほぼ向こう合わせだが、手応えを得てからスラックを巻き取りロッドに重みをしっかりかければOK。
日本製フックの鋭さを信じろ!!触れば刺さる。それは魚からルアーを外すときに魚が暴れてうっかり指にフックが刺さった経験があればわかるはずだ。ああ、痛え…。血が…。
アワセが甘いから刺さってない説については否定的立場です
繰り返しになるけど日本製フックの鋭さを信じろ。正しくあたれば、正しく入る、そういうものだと信じろ。
甘いのは、フックと魚の表皮の角度。角度が浅いと滑って皮の表面をバリ掻いてしまうか、あまりに浅い角度で刺さったから身切れして外れやすいと考えられる。チヌやタイのようなガチガチに硬い歯が邪魔になる魚ならともかく、相手は握れば潰れてしまうような渓魚である。フックの入る角度を垂直に近づけるには。口に入ればこれはもうかなりいい感じで深く刺さる。頬へのスレはやはり弾きやすいが、刺さるときはしっかり刺さる。入り方が良かったのだろう、と考えている。
ほとんどアワセらしいアワセはいらない。テンションを掛け直す、以後緩めない、でもう十分刺さっている。バットに魚の重さをしっかり乗せられれば、あとは流芯に持っていかれないように気をつけるとか、ローリングさせないとか、他のバラシ要素を減らす努力をする。
いい感じに刺さって、ふところまで貫通してくれたら身切れしないように気をつけて寄せにかかればよい。

それでもフッキング直後のバラシがゼロになるわけではない。もう、そういうのは刺さり方がまずかったのだと諦めるべし。瞬間バラしするような魚なんぞ、追いあわせしたってバレてると思う。
遠投時や濁りで見えないときはどうするのか?→トゥイッチの間を気持ち緩めるということは変わらないので淡々とそれを繰り返す
で、アップとクロス、ダウンでスラックの出方は変わるので、どうするか。
瀬をアップで狙う時は連続トゥイッチでミノーを左右に振って少しでも魚に長く見せて、かつ時間を稼ぐわけだが、そのときはルアーがどんどん手前に押されてくることになるので自然とラインスラックが増えていく。こういうときはむしろスラックを出しすぎてて食っても刺さらない、ということが起こりやすくなる。なので、淡々と連続トゥイッチをやっているといい感じでヒットしやすかったりする。ただ、これがクロスで反転するタイミングや、ダウン気味のとき、流れが緩い場所ではこれが逆転して、スラックがどんどんなくなっていく。なので意図的に大げさに間を作るなどする。
もちろん、開きや落ち込み脇のたるみなど流れの緩いところを通すときは、つとめてスラックを利用して食わせの間を作る。
いずれにしてもミノーにさせたい動きは、「連続トゥイッチの結果左右にダートした直後にラインテンションから解放され慣性で漂う瞬間」である。
意識してやってみた結果

これを努めて意識した結果、今日のヒットは14回あり、リリースサイズのキャッチが5匹、レギュラーサイズのアマゴを6匹キャッチ2匹バラシ、イワナ1キャッチであった。増水かつ先行者多数でどこに行ってもやや難しい釣りになったが、テンションを抜いてヒットさせる、というモーションがだんだん身についてきた。この調子で釣果を重ねていこうと思う。

テクニカル要素は多分もっと色々あるんだろうな ああ楽しい
このブログに書いてあるとおり、へらぶな釣りやチヌかかり釣りもやっているというか、そっちが本業である。しかし、こうやって色々なジャンルを学んでいると、共通しているのが「ラインテンション」。ウキ釣りであるへらぶな釣りにしても、実は底釣りなど道糸にかかるテンション、宙釣りでも使用するハリスの太さや張りの強さで釣果は変わってくる。ウキにかかるテンションをあえて抜きに行くために道糸を緩める、という動作も奥の手的に存在する。渓流ルアーでもラインテンションについての意識はこのように役立った。アタリの直前のワンアクション。奥が深い。